PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2014-

鈴木大介 ギター・リサイタル
~武満 徹の世界

プログラム詳細

2014:04:02:19:00:00

© 青柳 聡
■日時・会場
2014.4.2 [水] 19:00開演(18:30開場)
上野学園 石橋メモリアルホール

■出演
ギター:鈴木大介

■曲目
武満 徹編曲:《ギターのための12の歌》より
 早春賦(中田 章) speaker.gif[試聴]
 オーヴァー・ザ・レインボウ(ハロルド・アーレン) speaker.gif[試聴]
 ロンドンデリーの歌(アイルランド民謡) speaker.gif[試聴]
武満 徹:
 エキノクス speaker.gif[試聴]
 ギターのための小品ーシルヴァーノ・ブソッティの60歳の誕生日にー
武満 徹編曲:《ギターのための12の歌》より
 失われた恋(ジョセフ・コスマ) speaker.gif[試聴]
 インターナショナル(ピエール・ドジェーテル) speaker.gif[試聴]
 サマータイム(ジョージ・ガーシュウィン) speaker.gif[試聴]
武満 徹:フォリオス speaker.gif[試聴]
武満 徹編曲:《ギターのための12の歌》より
 イェスタデイ(レノン=マッカートニー) speaker.gif[試聴]
 ミッシェル(レノン=マッカートニー) speaker.gif[試聴]
武満 徹:森のなかで speaker.gif[試聴]
 ウェインスコット・ポンド-コーネリア・フォスの絵画から-
 ローズデール
 ミュアー・ウッズ
武満 徹編曲:《ギターのための12の歌》より
 ヘイ・ジュード(レノン=マッカートニー) speaker.gif[試聴]
 ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア(レノン=マッカートニー) speaker.gif[試聴]
 星の世界(チャールズ・C・コンヴァース) speaker.gif[試聴]
 シークレット・ラヴ(サミー・フェイン) speaker.gif[試聴]
武満 徹:すべては薄明のなかで-ギターのための4つの小品 speaker.gif[試聴]
[アンコール]
武満 徹:
 めぐりあい
 ワルツ(「他人の顔」より)
 三月のうた
ラスト・ワルツ(武満徹編)

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

ギター:鈴木大介 Daisuke Suzuki 作曲家の武満徹から「今までに聴いたことがないようなギタリスト」と評されて以後、新しい世代の音楽家として常に注目され続けている。
マリア・カナルス国際コンクール第3位、アレッサンドリア市国際ギター・コンクール優勝など数々のコンクールで受賞。
▼続きを見る 2004年~06年まで8回にわたり、20世紀に生まれたギター音楽を毎回異なる視点でアプローチする演奏会 「ギター・エラボレーション」を白寿ホールで開催。2005年には、ベルリン・パリ・東京にて、武満徹の舞台「マイ・ウェイ・ オブ・ライフ」でケント・ナガノ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団と共演。同年タイ国際ギター・フェスティバルにも出演し、2006年、再び招かれた。2008年、ワシントンのケネディセンターにて開催されたジャパン・フェスティバルでの「A Tribute to Toru Takemitsu」に渡辺香津美、coba、八尋トモヒロと共に出演。2010年にも、同メンバーでカーネギーホールおよびオレンジ・カウンティー・パフォーミング・アーツ・センター(カリフォルニア)にて再演、いずれも大好評を博した。
内外の演奏家からの信頼も厚く、これまでに、クロード・ボリング、マーティン・テイラー、渡辺香津美、荘村清志、ブランドン・ロス、古部賢一、須川展也、天羽明惠、荒川洋らと共演を重ねている。また、小澤征爾が中心となって行われるサイトウ・キネン・フェスティバル松本には、ゲスト・プレイヤーおよびオーケストラ・メンバーとして、1997年以降頻繁に招かれている。2007年にはジャズギタリストの鬼怒無月とのユニット「The DUO」を結成。各方面から高い評価を得ている。
現代音楽の初演も多く、武満徹作曲「森のなかで」「スペクトラル・カンティクル」の世界初録音を始め、これまで、池辺晋一郎、猿谷紀郎、西村朗、伊佐治直、林光ら、多くの作曲家による新作を初演している。アンサンブルとコンチェルトの膨大なレパートリーでの、明晰な解釈力と洗練された技術は、多方面からの評価を確立し、難度の高いプロジェクトにおけるファースト・コール・ギタリストの位置を維持している。
美術館でのコンサートも数多く行っており、特に都立現代美術館での「田中一光展」(2003年)、国立新美術館での「オルセー美術館展」(2010年)、ブリジストン美術館での「ドビュッシー、音楽と美術展」(2012年)では、展示作品のテーマに即したプログラムをプロデュースし、大きな話題となった。
斬新なレパートリーと新鮮な解釈によるアルバム制作はいずれも高い評価を受け、『カタロニア讃歌~鳥の歌/禁じられた遊び~』は2005年度芸術祭優秀賞(レコード部門)を受賞。2006年には武満徹の没後10年を記念し、映画音楽集『夢の引用』をリリース。2007、08年にリリースした『キネマ楽園』『キネマ楽園Ⅱ/夜の太陽』は、ギター・ソロによる映画音楽のカバーで大ヒットとなった。以降2013年までに同シリーズを全5作品リリースしている。また2012年には、ピアソラ没後20年となる年に、世界でも例を見ない、多重録音による「タンゴ組曲」を収録した『アディオス・ノニーノ~アストル・ピアソラ作品集』、をリリースした。
これまでにNHK-FM「クラシック・リクエスト」(1999~2001年)、「気ままにクラシック」(2002~08年3月)のパーソナリティも務めた。
第10回出光音楽賞、平成17年度芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。
洗足学園音楽大学客員教授。
横浜生まれ。ギターを市村員章、福田進一、尾尻雅弘の各氏に、作曲を川上哲夫、中島良史の両氏に師事。ほかに、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院においてエリオット・フィスク、ホアキン・クレルチの両氏に師事。

公式ブログ http://daisukesuzuki.at.webry.info/ ▲プロフィールを閉じる

ギター:鈴木大介 Daisuke Suzuki

■曲目解説

武満 徹(編曲):《ギターのための12の歌》
 1974~77年に書かれた作品で、編曲でありながら、テンポや曲のニュアンスに関して細かい指定があり、武満徹がギターという楽器に寄せた愛情がひしひしと伝わってくる。古今東西、ジャンルを越えた12曲のうち、「イエスタデイ」「ミッシェル」「ヘイ・ジュード」「ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア」と、3分の1をビートルズの名曲が占めている。映画からは、ミュージカル『オズの魔法使い』(1939年)の劇中歌「オーバー・ザ・レインボー」、マルセル・カルネ監督『愛人ジュリエット』(1951年)の「失われた恋」、西部劇『カラミティ・ジェーン』(1953年)の主題歌「シークレット・ラヴ」の3曲。他には、アイルランド民謡「ロンドンデリーの歌」、革命歌「インターナショナル」、ジャズのスタンダードナンバー「サマータイム」(原曲はジョージ・ガーシュウィン作)が選ばれ、さらに文部省唱歌から「早春賦」と「星の世界」がラインナップに入っている。

武満 徹:
エキノクス

 1993年、画家ジョアン・ミロの同名作品に想を得て作曲された。「エキノクス」とは、昼と夜の時間が等しくなる春分・秋分のこと。ギタリスト荘村清志のデビュー25年を記念するリサイタルのために用意されたもので、深い夢想に耽るような作品である。

ギターのための小品
 2分にも満たない小曲で、武満徹の友人であるイタリアの作曲家シルヴァーノ・ブソッティの60歳を記念して1991年に書かれ、誕生日のプレゼントとして贈られた。

フォリオス
 1974年に荘村清志の依頼によって書かれた本作は、ギター独奏曲というジャンルにおける武満徹の第1作。短い3つの曲からなるが、演奏順は奏者に委ねられている。作曲者の言によれば、第1曲は「旋律の透明な遠近法」、第2曲は「3+4を基本にした雨の音楽」、第3曲は「悼歌」であり、《マタイ受難曲》からの引用がある。

森のなかで
 北米の森の心象風景とも言えるこの作品は、最晩年の1995年に書かれた。3つの小品からなるが、それぞれに森の名前が付されている。第1曲「ウェインスコット・ポンド」は友人からの美しい絵葉書にあった森だが、場所は定かではない。第2曲「ローズデール」はカナダ・トロント郊外の古い邸宅街にある森。第3曲「ミュアー・ウッズ」はサンフランシスコ郊外の巨大なセコイアが聳え立つ森である。

すべては薄明のなかで
 「すべては薄明のなかで」は、4つの小品からなり、紡ぎ出される1音1音の音色と余韻、また音の間の静寂までもが、濃密な内省的時間に包まれるような、詩情に満ちた音楽である。画家パウル・クレーの同名作品に想を得たという。1987年、イギリスのクラシックギター奏者ジュリアン・ブリームの委嘱により書かれ、翌年の初演もブリームが行なっている。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 特別協力:上野学園 石橋メモリアルホール

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