PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2014-

ブラームスの室内楽
~世界で活躍するソリストたちが集結

プログラム詳細

2014:04:09:19:00:00

© 堀田力丸
■日時・会場
2014.4.9 [水] 19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
ヴァイオリン:渡辺玲子
ヴィオラ:川本嘉子
チェロ:向山佳絵子
カウンターテナー:藤木大地
ピアノ:渡邊一正

■曲目
ブラームス:
 ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ト長調 op.78《雨の歌》 speaker.gif[試聴]
 アルトのための2つの歌 op.91 speaker.gif[試聴]
  1. 鎮められたあこがれ
  2. 聖なる子守歌
 ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 op.25 speaker.gif[試聴]

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

ヴァイオリン:渡辺玲子 Reiko Watanabe 渡辺玲子は、超絶的なテクニック、玲瓏で知的な音楽性、切れ味鋭い官能性とその広いレパートリーで日本のみならず世界のヴァイオリン界をリードする逸材である。
第50回日本音楽コンクールにおいて最年少優勝(15歳)、同時に第1回増沢賞(全部門を合わせて最も優れたものに与えられる賞)を受賞、翌年の「若い芽のコンサート」でNHK交響楽団と▼続きを見るバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番を共演、衝撃的なデビューを飾った。
1984年ヴィオッティ、1986年にパガニーニ両国際コンクールで最高位を受賞。
1985年からは、ニューヨークのジュリアード音楽院に全額奨学生として留学し、1992年に学士と修士を取得。ニューヨークを本拠地として、世界各地でオーケストラとの共演、リサイタル、音楽祭への参加と国際舞台で目覚ましく活躍している。フランスのフィガロ紙は「彼女は全曲を通じ、文句のつけようのないほど見事であり、その光あふれる音色と、一種言葉にできないような魅力が全曲を通じ、疑いを差し挟む余地のない優美さに輝いていた」、ワシントン・ポスト紙は、「身についた優美」と見出しを掲げた記事で絶賛し、シラキュース(アメリカ)のヘラルド・ジャーナル紙は、「マリア・カラスがもしもヴァイオリニストであったなら、彼女のように弾くだろう」と書いた。
これまでに国内の主要オーケストラはもとより、ワシントン・ナショナル交響楽あdン、ロサンゼルス・フィルハーモニック、セントルイス交響楽団、ヴァンクーヴァー交響楽団、フィルハーモニア管弦楽団、BBC交響楽団、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団、ロシア・ナショナル管弦楽団、サンクトペテルブルク交響楽団、バンベルク交響楽団、NHK交響楽団などと共演、また、日本フィルハーモニー管弦楽団のヨーロッパ・ツアー、東京交響楽団のアメリカ・ツアーにもソリストとして同行している。
リサイタリストとしても意欲的に活動しており、1994年のカザルスホールでの<ニューヨーク・コレクション>(全5回)、2004年浜離宮朝日ホールでの<ブラームスとその系譜>(全3回)など、演奏の素晴らしさに加えて、その時代を見通したユニークなプログラムでも注目を集めた。また、1999年にはニューヨークのリンカーンセンターにおいてニューヨーク・リサイタル・デビューを果たし、NYタイムズ紙はその演奏を「圧倒的なテクニック、華麗な音色、劇的な音楽表現」と評し、見出しに「ヴィルトゥオーゾの圧倒的迫力に脱帽」と掲げて絶賛した。その他、2001年にはバッハの無伴奏作品に取り組み、これはCDとしても発売され高い評価を得ている。このほか、ワシントンのケネディセンターやラヴィニア音楽祭、イタリアのストレーサ音楽祭等に出演している。
アジアでも活躍の幅を広げており、香港フィルと中国ツアーのソリストを務めたほか、武漢交響楽団とも共演、台湾でも定期的に演奏会を行っている。
現代作品にも積極的に取り組み、その解釈と演奏には定評がある。近年では、2009年に新実徳英氏のヴァイオリン協奏曲第2番を仙台フィルハーモニー管弦楽団と世界初演し、また2011年には新実作品展でヴァイオリン曲を6曲を一晩で演奏し、いずれも高い評価を受けている。
レコーディング・アーティストとしてのデビューは、ドレスデンにおいてジュゼッペ・シノーポリ指揮ドレスデン・シュターツカペレと共演したベルクのヴァイオリン協奏曲で、演奏会と同時にテルデック・レーベルによってCD録音が行われ、1997年にリリースされると同時に高く評価された。その他、これまでに”マイ・フェイヴァリッツ”、”バッハ無伴奏ソナタ&パルティータ”、”チャイコフスキー&ショスタコービッチ:ヴァイオリン協奏曲”、“カルメン・ファンタジー”SOLO”などがある。
2004年からは演奏活動の傍ら教育にも携わり、秋田の国際教養大学特任教授として、音楽を専攻していない若者にも音楽の深さを知ってもらおうと、秋学期に集中講義(「音楽と演奏」)を行っている。 東京生まれ、現在ニューヨーク在住、日本では、松井宏中、鈴木共子、田中千香士、堀正文、大谷康子、海野義雄の各氏に師事、アメリカでは、J.フックス、J.ラタイナー、F.ガリミア、S.ローズ、I.スターンの各氏に師事、他にスイスで、N.ミルシテイン、アメリカでJ.ギンゴールドのマスタークラスも受講している。 2005年、第35回エクソンモービル音楽賞奨励賞受賞。
使用楽器は、日本音楽財団より貸与された1725年製ストラディヴァリウス「ウィルヘルミ」。

公式サイト http://www.reikowatanabe.com/

© Yuji Hori ▲プロフィールを閉じる

ヴァイオリン:渡辺玲子 Reiko Watanabe

ヴィオラ:川本嘉子 Yoshiko Kawamoto 1992年ジュネーヴ国際音楽コンクール・ヴィオラ部門で最高位(1位なしの2位)。1996年、村松賞受賞。1997年、第7回新日鉄音楽賞・フレッシュアーティスト賞受賞。東京都交響楽団首席奏者を経て、現在ではソリスト・室内楽奏者として最も活躍しているヴィオラ奏者の1人。京都アルティ弦楽四重奏団、AOI・レジデンス・クヮルテットのメンバー。3歳より才能教育研究会にて▼続きを見るヴァイオリンを始める。桐朋学園子供のための音楽教室、桐朋女子高等学校音楽科を経て、同大学に入学。これまでに、ヴァイオリンを江藤俊哉、鈴木愛子、室内楽を末吉保雄、原田幸一郎の各氏に師事。在学中より演奏活動を開始。1989年イグレック・クァルテットで第6回東京国際コンクール室内楽部門優勝。1989/90年にはタングルウッド音楽祭に招待を受けて参加。Grace B.Jackson賞を受賞。1991年、東京都交響楽団への入団をきっかけにヴィオラに転向。1999年より2002年退団まで首席奏者を務める。アメリカのマールボロ音楽祭、スイスのダボス音楽祭、〈東京の夏〉音楽祭、霧島国際音楽祭等に参加。サイトウ・キネン・オーケストラ、小澤征爾音楽塾、水戸室内管弦楽団、別府アルゲリッチ音楽祭等にも定期的に参加しアルゲリッチやユーリ・バシュメット等、世界一流のソリスト達と共演し絶賛を博している。ソリストとしても高い評価を得ており、1995年11月「新日鉄コンサート」、第59回“プロミシング・アーティストシリーズ”でのリサイタル、1997年7月から一年間カザルスホールで行ったリサイタル・シリーズ『HASEKO CLASSIC SPECIAL/川本嘉子ザ・ヴィオリスト』はいずれも好評を博した。これまでにガリー・ベルティーニ、ジャン・フルネ、ペーター・マーク等の著名な指揮者と共演している。指揮者/ピアニスト、チョン・ミョンフンの提唱する「セブンスターズ・ガラ・コンサート」にも参加し、2000年、日本・韓国公演を行う。2003年7月にも再び共演し、『臨機応変、他のパートに寄り添いつつ、しっかり支えたビオラの川本は達人』(朝日新聞・白石美雪氏評)との評価を得た。CD録音はチェンバロの中野振一郎との『ヴィオラ・バロック・ミュージック』(マイスターミュージック MM-1028)『J.S.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバとチェロのためのソナタ』(マイスターミュージックMM-1075)がリリースされている。 ▲プロフィールを閉じる

ヴィオラ:川本嘉子 Yoshiko Kawamoto

チェロ:向山佳絵子 Kaeko Mukoyama 東京生まれ。松波恵子、堀江泰氏、レーヌ・フラショー、毛利伯郎の各氏に師事。1985年、第54回日本音楽コンクール第1位入賞。東京芸術大学を経て1990年、ドイツ・リューベック国立音楽大学に留学し、ダヴィド・ゲリンガスに師事。同年、第10回ガスパール・カサド国際チェロ・コンクール第1位入賞。1988年、第3回アリオン賞審査委員奨励賞受賞。1992年、第2回出光音楽賞受賞。
▼続きを見るカザルスホールでの「向山佳絵子とチェロの世界」シリーズや、東京オペラシティでの連続リサイタル、各地の音楽祭への参加、JTアートホール室内楽シリーズのプランナー、ハレー・ストリング・カルテットの一員などとして活躍し、常に話題を集めている。
また、世界の一流演奏家との共演も数多くこなす一方、NHK交響楽団、東京都交響楽団、読売日本交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、水戸室内管など数多くのオーケストラとも共演している他、リサイタル、室内楽にと多彩な演奏活動を繰り広げている。1998年にはNHK-FMの人気番組「おしゃべりクラシック」のパーソナリティをつとめ、広い層からの支持を得た。その後もNHK-FMには度々出演、特番の司会や、生放送でリスナーのリクエストに応える等特に話題となった。最近では企画の公演が、BSクラシック倶楽部等テレビでも放送されている。
録音はソニーより「バッハ無伴奏チェロ組曲全曲」ほか5枚のCDが発売されており、収録曲はNHKスペシャルやドラマのテーマ曲、TVCM曲などに使用されている。カメラータ・トウキョウからは池辺晋一郎と三善晃のチェロ協奏曲のCDもそれぞれ発売されているほか、日本コロムビア、日本アコースティックレコーズから室内楽も発売されている。2013年5月には、企画する公演のライブ録音『ミラクル・チェロ・アンサンブル-12人のチェロ・アンサンブル-』がEXTONよりリリースされた。
現在、東京芸術大学非常勤講師として後進の指導を務める傍ら、NHK交響楽団首席奏者も務めるなど、日本を代表する実力派チェリストとして今後の活躍が大いに期待されている。

公式サイト http://kaekomukoyama.jimdo.com/

© 大窪道治 ▲プロフィールを閉じる

チェロ:向山佳絵子 Kaeko Mukoyama

カウンターテナー:藤木大地 Daichi Fujiki 2012年、第81回日本音楽コンクール声楽部門第1位。権威ある同コンクールにおいて、史上初めてカウンターテナーが優勝したことは、大きな話題となった。
その後、13年5月にボローニャ歌劇場に開場250周年記念として上演されたグルック《クレーリアの勝利》マンニオ役に抜擢されてデビュー。続いて6月には同劇場で▼続きを見るバッティステッリ《イタリア式離婚狂想曲》カルメロ役で出演。
バロックからコンテンポラリーまで、幅広いレパートリーで国際的な活動を展開する、現在最も注目を集めるアーティストのひとりである。
2002年東京藝術大学卒業。2005年新国立劇場オペラ研修所修了。文化庁派遣芸術家在外研修員としてイタリア・ボローニャ、ロームミュー ジックファンデーション奨学生としてウィーンに留学。
2003年に新国立劇場公演《フィガロの結婚》(ウルフ・シルマー指揮)クルツィオ役でテノール歌手としてデビュー後、メルボルン・インターナ ショナル・アーツ・フェスティバル(オーストラリア)における世界的舞踏家・勅使川原三郎氏の公演「Green」への客演や、シュタイアー音楽祭(オーストリア)での《椿姫》《カルメン》、神奈川フィルハーモニー管弦楽団との《バスティアンとバスティエンヌ》(井上道義指揮)、九州交響楽団との《第九》テノールソロ(小泉和裕、現田茂夫、山田和樹指揮)など、テノール歌手としての国内外での演奏活動の一方で、コンサートプロ デュース、ウィーン国立歌劇場におけるオペラ制作についての研修、ウィーン国立音楽大学大学院での文化経営学の研究など、多彩に活動する。
2011年に歌手活動をカウンターテナーに転向。同年11月、ローマ国際宗教音楽コンクール2011にてファイナリストとなる。
2012年、第31回国際ハンス・ガボア・ベルヴェデーレ声楽コンクールにてオーストリア代表として2年連続で選出され、世界大会でファイナリストとなり、ハンス・ガボア賞を受賞した。
同年秋、アイルランドにて2都市でのソロリサイタルに招聘されたほか、2013年にはダブリンでヘンデル作曲《メサイア》、ペルゴレージ作曲《スターバト・マーテル》のアルトソロを歌うなど、活躍の場を広げている。
今後は日生劇場でのライマン作曲《リア》エドガー役(下野竜也指揮/読売日本交響楽団)、オーケストラ・アンサンブル金沢との国内4都市で のニューイヤーコンサート(井上道義指揮)、九州交響楽団(黒岩英臣指揮)、東京フィルハーモニー交響楽団(小林研一郎指揮)との《第九》アルトソロ、また国内各地でのソロリサイタルが予定されている。
声楽を鈴木寛一、マイケル・チャンスなど諸氏に師事。
宮崎県出身、ウィーン在住。

© K. Miura ▲プロフィールを閉じる

カウンターテナー:藤木大地 Daichi Fujiki

ピアノ:渡邊一正 Kazumasa Watanabe 東京生まれ。1991年東京フィルハーモニー交響楽団を指揮してデビュー。1996年からは東京フィルハーモニー交響楽団の指揮者に就任し、現在に至る。また1995年から2002年まで広島交響楽団正指揮者も歴任。1998年にはNHK交響楽団の指揮台に初登場し、それ以後オーチャード定期(2003年)、NHKホール定期(2006年)を始めN響とは定期的に共演を重ねている。▼続きを見る2000年第69回日本音楽コンクール作曲部門(管弦楽:東京交響楽団)と2008年第77回同コンクール・ピアノ部門(管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団)の本選会演奏に対しコンクール委員会特別賞を贈られる。日本国内のオーケストラとは読売日本交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、東京都交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団を始め主要なオーケストラに定期的な客演を行ない、その音楽性と指揮に対する信任を確実に得ている。
オペラ、バレエでの活躍も目覚しく、新国立劇場でマスカーニ歌劇《友人フリッツ》を、同劇場バレエ団では《白鳥の湖》《くるみ割り人形》《ドン・キホーテ》などを指揮し、2006年には《白鳥の湖》の新演出の指揮も行い、大成功を収めた。
また彼の指揮活動は国内だけにとどまらず、海外でもサンクトペテルブルグ交響楽団の定期演奏会に客演するなど、確実にキャリアを積んでいる。
吹奏楽の分野では、東京佼成ウィンドオーケストラや大阪市音楽団の定期演奏会などに度々客演し、両楽団とのCDも発売されている。また2010年1月に行われた『Bunkamura×東京フィル 東京ブラスフェスタ』で満員の聴衆を魅了した。
ピアニストとしても8歳の時に東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団とハイドンのピアノ協奏曲を協演。1987年から89年には渡欧し、ダルムシュタット音楽アカデミー、ハンス・ライグラフ教授のマスター・クラスでピアノを学ぶ。その後東京フィル定期、広島交響楽団定期、大阪フィル、札幌交響楽団などのオーケストラと、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番、第5番「皇帝」、ラヴェル、モーツァルト、ガーシュウィンなどの弾き振りを含むプログラムを行なうなど、ピアニストとしての才能も評価されている。

© 満田 聡 ▲プロフィールを閉じる

ピアノ:渡邊一正 Kazumasa Watanabe

■曲目解説

ブラームス:
ヴァイオリン・ソナタ 第1番《雨の歌》

 本曲は、美しい景観に囲まれたオーストリア南部の避暑地ペルチャハで、1879年に書かれた。このソナタが《雨の歌》と呼ばれるのは、グロートの詩に付曲した同名歌曲(作品59-3)のメロディが、終楽章冒頭の主題に用いられているためである。
 第1楽章は、優美な旋律を持つ第1主題と、より情熱にあふれた第2主題によって展開する。気品を湛えた楽想ながら、どこか親しみやすさがある。第2楽章アダージョは、美しい抒情のなかにもブラームスらしい憂愁が入り混じる。第3楽章は、憂いを含んだ《雨の歌》の主題に2つの副主題が絡み、最後は美しい旋律が遠い追想を誘うような余韻を残し、そっと全曲を閉じる。

アルトのための2つの歌
 アルトにオブリガートのヴィオラ、ピアノが付いた珍しい編成の歌曲。1884年夏、保養地ミルツツーシュラークで完成された。第1曲「鎮められたあこがれ」は、リュッケルトの詩による。ここでのヴィオラは単なるオブリガートにとどまらず、アルトが歌う心情をともに表現する。第2曲「聖なる子守歌」では、ガイベルによる訳詩が用いられている。ヴィオラが奏するのは古いクリスマスの歌。友人ヨーゼフ・ヨアヒムの長子誕生を祝って書かれたとも言われる優美な子守歌である。

ピアノ四重奏曲 第1番
 1861年に完成されたこの作品には、若きブラームスの情熱と苦悩が詰まっている。ブラームスはピアノ四重奏曲を3曲書いているが、それらは1854~55年頃に構想されたと言われている。しかし、いずれもすぐには完成されず、この第1番はブラームスが故郷ハンブルクに帰った1861年に書き上げられ、クララ・シューマンらによって初演された。
 第1楽章アレグロは、冒頭から暗い情熱を秘めた楽想が展開され、第2楽章インテルメッツォでは、ロマン的幻想を湛えた主題が切々と奏でられる。第3楽章アンダンテ・コン・モートでは、ヴァイオリンとヴィオラが伸びやかに歌う。第4楽章プレストは、ブラームス自身により「ジプシー風のロンド」と記されているが、第1楽章のストイックな情感から解放され、前へ進もうとする力強さが感じられるフィナーレとなっている。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会

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