PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2014-

フィレンツェの思い出
~若き名手たちによる室内楽の極(きわみ)

プログラム詳細

2014:04:03:19:00:00

© 青柳 聡
■日時・会場
2014.4.3 [木] 19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
ヴァイオリン:長原幸太、西江辰郎
ヴィオラ:鈴木康浩、大島 亮
チェロ:上森祥平、奥泉貴圭

■曲目
ドホナーニ:弦楽三重奏のためのセレナード ハ長調 op.10 speaker.gif[試聴]
ブラームス:弦楽五重奏曲 第1番 ヘ長調 op.88 speaker.gif[試聴]
チャイコフスキー:
弦楽六重奏曲 ニ短調 op.70 《フィレンツェの思い出》speaker.gif[試聴]
[アンコール]
ヨハン・シュトラウス(佐々木絵理編):雷鳴と稲妻

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

ヴァイオリン:長原幸太 Kota Nagahara 1981年、広島県呉市に生まれる。東京藝術大学附属音楽高等学校を卒業後、同大学に進学。その間、全額スカラシップを受け、ジュリアード音楽院に留学。92/93年と連続して全日本学生音楽コンクール全国第1位。94年ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクール17歳以下の部第3位。98年、日本音楽コンクール最年少優勝。五嶋みどりレクチャーコンサートで奨励賞を受賞し、 ▼続きを見る ニューヨークに招待され、同氏のレッスンを受ける。また、若い人のための「サイトウ・キネン室内楽勉強会」で小澤征爾指揮のもとコンサートマスターやソリストを務め、サイトウ・キネン・オーケストラにも最年少で参加。12歳で東京交響楽団と共演したのを皮切りに、日本各地の主要オーケストラや、小澤征爾、岩城宏之、秋山和慶、ゲルハルト・ボッセといった名指揮者と共演。ソリスト以外にも室内楽奏者、オーケストラのゲストコンサートマスターとしても活躍。さらに、別府アルゲリッチ音楽祭、宮崎国際音楽祭、木津川やまなみ国際音楽祭等、各地の音楽祭にも出演。演奏を通じてのボランティア活動にも力を入れている。広島市長賞「広島フェニックス賞」、広島県教育長賞「メイプル賞」受賞、広島国際文化財団「ヒロシマ・スカラシップ」、広島ホームテレビ文化・スポーツ賞(最年少受賞)、東京藝術大学・福島賞等、受賞多数。これまでに村上直子、小栗まち絵、工藤千博、澤 和樹、ロバート・マンの各氏に師事。2004年9月、大阪フィルハーモニー交響楽団首席客演コンサートマスターに就任、06年4月~12年3月まで首席コンサートマスターを務める。

© 飯島 隆 ▲プロフィールを閉じる

ヴァイオリン:長原幸太 Kota Nagahara

ヴァイオリン:西江辰郎 Tatsuo Nishie 新日本フィルのコンサートマスター、ソリスト、室内楽奏者としても活躍する若手ヴァイオリニスト西江辰郎は、1976年、東京生まれ。桐朋女子高等学校音楽科(共学)を経て、桐朋学園ソリストデュプロマコース修了。国内コンクールに多数入賞し、2001年、弱冠24歳で仙台フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターに就任。多くのソロを受け持ち、▼続きを見る 《英雄の生涯》《シェヘラザード》等で絶賛された。東京フィロスクヮルテット、セレーノ弦楽四重奏団を結成し、SPC大賞、せんだい芸術祭大賞、緑の風音楽賞、松尾音楽助成等の受賞歴を持つ。ヴァイオリンを辰巳明子、ティボール・ヴァルガ、景山誠治、藤原浜雄、海野義雄の各氏に、室内楽を安永徹、市野あゆみ、ガボール・タカーチ=ナジ、岡山潔の各氏に師事。
レパートリーもコレルリ、バッハから三善晃、カプースチンまでと幅広い。イタリアの作曲家アレッサンドロ・クオッツォは友人で、ピアノのジュゼッペ・アンダローロとのイタリア・リサイタルツアーでは無伴奏ヴァイオリンソナタを献呈された。
日本、オーストリア、スイス、フランス、イタリア、チェコ、韓国等、世界各地で演奏。サイトウ・キネン・オーケストラのメンバー。ソリストとしても東京交響楽団、オーケストラ・T・ヴァルガ、仙台フィルハーモニー管弦楽団、仙台市民交響楽団、オーケストラ・アンサンブル金沢、チェコ室内フィルハーモニー管弦楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団等、国内外のオーケストラと共演。クリスティアン・アルミンクに認められ、2005年より新日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスターに就任。2007年には「M・マイスキー60歳記念プロジェクト」でミッシャ・マイスキー(チェロ)と共演。2009年にはアールガウ交響楽団のソリストに抜擢され、チューリッヒ・トーンハレで協奏曲デビューを果たし、紙上でも賞賛された。またCD『カプースチン』をリリース。2010年にはソリストとして新日本フィルハーモニー交響楽団と4回の共演を行ない、リサイタルではアンドレア・タランティーノのSulla Via del Graalをアジア初演。
精力的な演奏活動のかたわら、最近、サンサーンスのオペラ《サムソンとダリラ》より“Printemps qui commence”をヴァイオリンとピアノのための小品に編曲し、好評を得る。DVDは『DUO』西江辰郎&アンダローロ(FOVD 101)。CDは『シューマン&R.シュトラウス』西江&坂野(FOCD3511)、『カプースチン』西江辰郎&アンダローロ デュオリサイタル3(FOCD3510)、『フランク&プロコフィエフ』西江&アンダローロ デュオリサイタル2(FOCD9337)、『西江辰郎&アンダローロ デュオリサイタル』(FOCD9236)、『ARENSKY』(HCC-2027)。

公式サイト http://homepage3.nifty.com/nishie-tatsuo/

© Kazuhiko Suzuki ▲プロフィールを閉じる

ヴァイオリン:西江辰郎 Tatsuo Nishie

ヴィオラ:鈴木康浩 Yasuhiro Suzuki 新潟県生まれ。5歳よりヴァイオリンを始める。辰巳明子氏に師事。桐朋女子高等学校音楽科(共学)を経て、桐朋学園大学卒業。読売新聞社新人演奏会出演。第47回全日本学生音楽コンクール東京大会高校の部第1位。卒業後ヴィオラに転向、岡田伸夫氏に師事。第9回日本クラシック音楽コンクール全国大会ヴィオラ部門最高位。第2回淡路市立しづかホールヴィオラコンクール第2位。▼続きを見る 第12回宝塚ベガ音楽コンクール弦楽器部門第1位。2001年よりドイツのヘルベルト・フォン・カラヤン・アカデミーで研鑽を積み、その後ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の契約団員となる。2003年にはクラズィッシェ・フィルハーモニー・ボンのソリストとして、ドイツ各地で演奏し好評を博す。2004年秋に帰国し、日本で活動を始める。ソロ活動として、東京オペラシティでの「B→C(ビートゥーシー)」に出演、リサイタル、読売日本交響楽団とコンチェルトのソリストとして共演、ヴィオラスペースに出演。室内楽ではレガーメ弦楽四重奏団のメンバーとしてカルテットの活動、王子ホールでの「MAROワールド」やランチタイムに行われる名曲シリーズ、JTアートホールではJTアートホール室内楽シリーズに度々出演。その他にもサイトウ・キネン・フェスティバル松本、宮崎国際音楽祭等、多方面で活動中。フェリス女学院大学の非常勤講師として後進の指導にも当たる。現在、読売日本交響楽団ソロ首席ヴィオラ奏者。

© 読売日本交響楽団 ▲プロフィールを閉じる

ヴィオラ:鈴木康浩 Yasuhiro Suzuki

ヴィオラ:大島 亮 Ryo Oshima 桐朋学園大学研究科修了。岡田伸夫氏に師事。
第11回コンセール・マロニエ21第1位、第7回東京音楽コンクール第1位、第42回マルクノイキルヘン国際コンクールディプロマ賞受賞。
▼続きを見る ヴィオラスペース、水戸室内管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラなどに出演。
室内楽では今井信子、原田禎夫、各氏等と、ソリストとして東京都交響楽団、九州交響楽団と共演。 読売日本交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団等に首席奏者として客演するほか、室内楽奏者としても積極的に活動している。

© 大窪道治 ▲プロフィールを閉じる

ヴィオラ:大島 亮 Ryo Oshima

チェロ:上森祥平 Shohei Uwamori 東京藝術大学在学中に日本音楽コンクール第1位、及び「松下賞」受賞。「安宅賞」受賞。各地で開催されたデビューリサイタルでは、その高い表現力や表情豊かな包容力が誌上で高く評価された。1999年の宮崎国際室内楽音楽祭でアイザック・スターン、エマニュエル・アックス、ジュリアード・クァルテット等に師事。スターン自身の招きによって2000年に再び同音楽祭に出演。 ▼続きを見る この模様はNHK総合、BS他で繰り返し放送された。東京藝術大学でヨーヨー・マのマスタークラスを受講。2001年にベルリン芸術大学留学。2004年、J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲連続演奏会に出演し成功を収め、誌上では「無駄な音は一つもない。その響きは無類」と絶賛される。パブロ・カザルス国際チェロコンクール、エマニュエル・フォイアマン・グランプリ、セミファイナリスト。ベルリン・フィル定期演奏会にオーケストラの一員として出演の他、欧州各地で演奏活動の後、2005年ドイツ国家演奏家資格を取得し、ベルリン芸術大学を卒業。帰国後はソロ、室内楽、主要オーケストラの客演首席等で活躍する他、東京藝術大学において後進の育成に力を注ぐ。ドイツ三大Bチェロ作品全曲リサイタルシリーズでは、ベートーヴェン(2005年)、ブラームス(2006年)のソナタ、及びバッハ無伴奏チェロ組曲(2008年)を一夜で演奏し、成功を収めた。2008年「熱狂の日」音楽祭、東京のオペラの森、NHK-FM名曲リサイタル等に出演。また全国でバッハ無伴奏チェロ組曲全曲リサイタル(+6つの小品)を開催、大成功を収めた。この年よりバッハ無伴奏チェロ組曲全曲リサイタルをシリーズ化し、毎年開催する。小林研一郎、下野竜也らの指揮のもと、東京交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、京都市交響楽団、神戸市室内合奏団、藝大フィルハーモニア等と共演。アナ・チュマチェンコ、安永徹、玉井菜採、篠崎史紀、清水和音らと室内楽を共演。上村昇、河野文昭、藤森亮一、林裕らとチェロアンサンブルを結成。ヴォルフガング・ベッチャー、河野文昭、山崎伸子の各氏に師事。東京藝術大学非常勤講師。京都市芸術文化特別奨励者。

公式サイト http://www.uwamori.jp/

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チェロ:上森祥平 Shohei Uwamori

チェロ:奥泉貴圭 Takayoshi Okuizumi 札幌出身。東京藝術大学附属音楽高等学校を卒業後、ドイツ・トロッシンゲン音楽大学を経て、2007年より2年間バイエルン国立歌劇場の契約団員として研鑽を積む。2006年度文化庁在外研修員。1998年、札幌ジュニアチェロコンクール優秀賞。2004年ビバホールチェロコンクール2位。JTが育てるアンサンブルシリーズ、小澤征爾氏率いるスイス・インターナショナルアカデミー、▼続きを見る 小澤征爾音楽塾オーケストラ、サイトウ・キネン室内楽勉強会、水戸室内管弦楽団、東京・春・音楽祭等に参加。2009年に帰国後、上野学園大学講師、オーケストラ客演首席奏者の活動を始めとし、ソロ、室内楽奏者として演奏活動を行っている。これまでに上原与四郎、河野文昭、原田禎夫、イフ・サバリーの各氏に師事。
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チェロ:奥泉貴圭 Takayoshi Okuizumi

■曲目解説

ドホナーニ:弦楽三重奏のためのセレナード
 エルンスト・フォン・ドホナーニは、バルトークやコダーイ等にも影響を与えたハンガリーの作曲家で、指揮者のクリストフ・フォン・ドホナーニはその孫にあたる。1902年に書かれたこの作品は、全5楽章の構成。第1楽章「行進曲」に始まり、第2楽章ロマンツァの流れるように美しい旋律を経て、第3楽章のスケルツォでは、跳ねるような半音階的主題が印象的。第4楽章「主題と変奏」において冒頭に与えられたハ短調の主題は、暗い美しさの中にも崇高な情熱を感じさせる。フィナーレのロンド楽章は、楽想の多彩さを見せて、最後に再び第1楽章に現れた主題が奏されて楽曲を締めくくる。

ブラームス:弦楽五重奏曲 第1番
 1882年に保養地バート・イシュルで短期間に書かれたが、ブラームス自身も相当な自負を抱いていた作品で、翌年には交響曲第3番が完成するなど、50歳を目前にした円熟のブラームスを聴くことができる。モーツァルトの弦楽五重奏曲に倣ってヴァイオリン2挺、ヴィオラ2挺、チェロ1挺という編成になっており、全3楽章で構成されている。第1楽章冒頭は穏やかな明るさに満ちた主題で始まり、第2楽章は暗い諦観に満ちた調べが耳を離れない。終楽章は、細かく刻まれる音符を重ねながら次第に高揚していき、堂々たるクライマックスが築かれる。

チャイコフスキー:弦楽六重奏曲《フィレンツェの思い出》
 1890年、チャイコフスキーの晩年(50歳)に完成したこの作品は、かつて過ごしたフィレンツェでの日々を思い返すかのように、ある時は激しい情熱に身を委ね、またある時は優しい旋律に心を委ねて、宗教的なモチーフあり民謡風の旋律ありといったふうに、バラエティに富んだ要素を包括した個性的な作品となっている。全4楽章構成で、メロディメーカーたるチャイコフスキーの抒情的な旋律が聴く人の心を揺さぶる。1892年の初演は、本作の献呈を受けたサンクトペテルブルクの室内楽協会(レオポルト・アウアーら高名な演奏家たち)によって行なわれた。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会

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