PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2014-

アルゼンチン・タンゴの夕べ
~哀愁漂うタンゴの名曲を集めて

プログラム詳細

2014:04:01:19:00:00

■日時・会場
2014.4.1 [火] 19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
京谷弘司 クァルテート・タンゴ
 バンドネオン:京谷弘司
 ピアノ:淡路千穂子
 ヴァイオリン:吉田 篤
 ベース:田辺和弘
ヴォーカル:柚木秀子

■曲目
サボリード:フェリシア
フィルポ=アローラス:花火
バチーチャ/コントゥルシ:場末のバンドネオン
バスケス:狂乱の恋
オワール=セリージョ:東洋のメロディ
京谷弘司:プグリシモ
ピアナ-マンシ:ミロンガ・センティメンタル
ディセポロ:秘めごと
ビジョルド:エル・チョクロ speaker.gif[試聴]
京谷弘司:いつもブエノスアイレスへ
京谷弘司:回想
ディセポロ:ジーラ・ジーラ
ピアナ/マンシ:悲しきミロンガ
バルディ:最後の逢い引き speaker.gif[試聴]
カステジャーノス:刃物騒ぎ
カルダレーラ/スカルピーノ:パリのカナロ speaker.gif[試聴]
トロイロ/カスティージョ:それがどうした?
ペトロッシ:魅せられし心
ピアソラ:
 アディオス・ノニーノ speaker.gif[試聴]
 ブエノスアイレスの夏 speaker.gif[試聴]

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

バンドネオン:京谷弘司 Koji Kyotani 今は亡きアルゼンチンタンゴの巨匠アストル・ピアソラから「近い将来アストル・ピアソラのライバルとなるコウジへ!素晴らしい音楽に乾杯!」と喜びのメッセージを受けた日本が誇るバンドネオン奏者。 京谷弘司は若くしてタンゴの世界に入り わずか20歳で日本のタンゴ史に残る楽団早川真平とオルケスタ・ティピカ東京の第一バンドネオン奏者となり 常に第一線で活躍し、▼続きを見る その卓越した演奏力は本国アルゼンチンでも知られる存在である。 1996年自身の率いるクァルテート・タンゴの初アルバム《レコルダシオン》がリリースされた このCDの中の数曲はブエノスアイレスで録音され ヴァイオリンとベースにはピアソラのキンテートで長く活躍したF.スアレス パスとH.コンソーレが参加している。1998年8月ブエノスアイレスの国立セルバンテス劇場にてオルケスタ・ティピカ東京のバンドネオンソリスタとして出演。 2002年3月にはグラナダ・タンゴ・フェスティバルに出演し、総立ちの大喝采を受ける。 2003年7月には東京オペラシティコンサートホールでチョン・ミョンフン指揮による「ミサ・タンゴ」(日本初演)にバンドネオンソリスタとして出演。 2003年8月ブエノスアイレスにてCD作成 自身のオリジナル曲を含む全曲をアルゼンチンのミュージシャンと共に録音(タイトル:モノローグ)。2003年12月には実力ナンバーワンのレオポルド・フェデリコ楽団の日本公演ツアーにゲスト出演。日本各地でのコンサートに参加。2004年7月全曲ブエノスアイレス録音のCD『モノローグ』をリリース。 2010年9月、キューバ国立交響楽団に招かれピアソラナンバーを演奏。またオーケストラとの演奏活動も盛んに行われ、日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会ではピアソラの「タンゴの歴史」シリーズを本邦初演奏し話題となる。 京谷は作曲・編曲にも意欲を燃やし 自作の『シエンプレ・ア・ブエノスアイレス』『レコルダシオン(回想)』『プグリシモ』等はタンゴの魂を持っている曲と賞賛されている。 タンゴに対する真摯な姿勢は自ずとその音楽性にも現れ一度聴いた人の心に深く感銘を残すといわれている。 コンサート活動のほかにテレビ出演・レコーディング・コマーシャル音楽・ディナーショウ等で活躍中。

公式サイト http://www.kyotanikoji.com/ ▲プロフィールを閉じる

バンドネオン:京谷弘司 Koji Kyotani

ピアノ:淡路七穂子  Nahoko Awaji 1978年第32回全日本学生音楽コンクール(毎日新聞社主催)ピアノ演奏部門に於て東日本第2位に入賞。1982年桐朋学園音楽大学音楽学部ピアノ演奏学科卒業後、ピアノ五重奏、ヴァイオリンとのデュオなど室内楽を中心としたコンサート活動を行なう。1991年京谷に見出されタンゴピアニストとしてデビュー。京谷とともに日本フィルハーモニー交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団と▼続きを見る 共演、「ときめき夢サウンド」「公園通りで会いましょう」など、テレビ出演も多い。また1996年、2003年とアルゼンチンに渡り、京谷のCD録音に参加するなど、現在、京谷のタンゴコンサートには欠くことのできないピアニストとして活躍中。クラシック界で鍛えられた美しい音色、豊かな音楽性、力強いタッチは特に高い評価を得ている。 ▲プロフィールを閉じる

ピアノ:淡路七穂子  Nahoko Awaji

ヴァイオリン:吉田 篤 Atsushi Yoshida 山口県出身。山口県学生音楽コンクール金賞、コンクール大賞受賞。全日本学生音楽コンクール福岡大会第一位。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院室内楽科ヴィオラ専攻修了。全国各地の音楽祭に参加。「カルテット・アーニマ」で松尾財団より音楽助成を受ける。「緑の風音楽賞」受賞。現在、東京藝術大学管弦楽研究部非常勤講師。「藝大フィルハーモニア」「東京シンフォニエッタ」▼続きを見る 「カルテット・アーニマ」「音楽集団“渦々”」メンバー。また2000年よりタンゴヴァイオリニストとしての活動も始め、2010年にはアルゼンチン・ブエノスアイレスでのタンゴフェスティバルに招聘され、好評を博す。数多くのタンゴバンド のメンバーとして活躍中。 ▲プロフィールを閉じる

ヴァイオリン:吉田 篤 Atsushi Yoshida

ベース:田辺和弘 Kazuhiro Tanabe 東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て東京藝術大学を卒業。コントラバスを渡辺彰考、永島義男、ツォルト・ティバイに師事。クラシックでの活動の他、様々なジャンルの多くのアーティストのコンサート、録音にも参加。なかでもタンゴでは国内の多くのアーティストと共演。オスバルド・ベリンジェリ、ビクトル・ラバジェン、ホセ・コランジェロ、ウーゴ・パガーノなどの▼続きを見る アルゼンチンのタンゴアーティストとも多く共演している。最近では齋藤徹とのベースアンサンブルに参加。クラリネット奏者の好田尚史とはジャンルを超えた新たな音楽を模索している。 ▲プロフィールを閉じる

ベース:田辺和弘 Kazuhiro Tanabe

ヴォーカル:柚木秀子 Hideko Yuki 「ヤマハ・タンゴコンサート」でタンゴ界にデビュー。 1964年、早川真平とオルケスタ・ティピカ東京の海外公演に藤沢嵐子と共に参加。アルゼンチン、メキシコ等の中南米7カ国を9カ月にわたって巡演。また国内各地でもティピカ東京帰国公演に参加。タンゴが沈滞した時も、休まず歌い続けた唯一のタンゴ歌手。1981年、カムバックした藤沢嵐子リサイタルにゲスト出演して▼続きを見る 見事な歌唱力を示し、多くのアルゼンチンのタンゴ楽団と共演して話題となる。 美しいスペイン語の歌唱で常にタンゴ歌手の頂点にあり、その歌声は聴く人の心に深く響き渡る。 ▲プロフィールを閉じる

ヴォーカル:柚木秀子 Hideko Yuki

■曲目解説

曲目解説:飯塚久夫(日本タンゴアカデミー会長)

サボリード:フェリシア
リズムとメロディが一体化して進行するタンゴの典型的な魅力がある。作者はタンゴ草創期の作曲家で踊り手。「エル・チョクロ」の作曲者アンヘル・ビジョルドの詞にサボリードが曲をつけた「ラ・モローチャ」も有名。

フィルポ−アローラス:花火
描写タンゴの代表作。フィルポには「夜明け」という描写曲もある。作者の二人はタンゴ初期を代表するピアノ奏者とバンドネオン奏者。「ラ・クンパルシータ」を完成させたのもフィルポである。

バチーチャ:場末のバンドネオン
作者は1921年スペインに渡り、アルゼンチン・タンゴをヨーロッパへ広めた立役者の一人。パリで活躍し、「ラ・クンパルシータ」の作詞者の一人P.コントゥルシ(1928年に訪欧した)の詞を得て、この曲が作られた。

バスケス:狂乱の恋
パブロ・ホセ・バスケスはパジャドール(吟遊詩人)。バルス・クリオージョという3拍子のワルツであるが、これもブエノスアイレス独特のタンゴ的な魅力がある。美しいメロディと荒っぽい古風さが緩急こもごも演奏される。

オワール−セリージョ:東洋のメロディ
フアン・カルロス・オワールは1955年、エクトル・バレーラ楽団のピアニストになったことで有名。ロベルト・セリージョはバイオリン奏者。今回はインストゥルメンタルだが、有名なエンリケ・カディカモの詞も付いている。

京谷弘司:プグリシモ
京谷は、現代タンゴの頂点オスバルド・プグリエーセのスタイルもよくこなす。この曲は彼がプグリエーセを敬って作ったもので、そのスタイルの真髄を良く湛えている。演奏をじっくり聴いていただきたい。

ピアナ:ミロンガ・センティメンタル
ミロンガは2拍子のリズムで、古風なタンゴのイメージを有している。1920年代には廃れかかったが、30年代になってそれを復興させたのがピアナと作詞者のオメロ・マンシであった。1931年作のこの曲はその象徴と言える。

ディセポロ:秘めごと
日本ではディセポロの曲は「ジーラ・ジーラ」が最も有名。しかし他にも作詞作曲者として「カンバラーチェ」「今宵われ酔いしれて」「告白」などの傑作がある。また作詞者として「ウノ」「カフェティン・デ・ブエノスアイレス」も名作。

ビジョルド:エル・チョクロ
「ラ・クンパルシータ」と並んで最も有名なタンゴといえばこの曲。20世紀初頭、ビジョルドの作詞作曲によるが、1947年にディセポロが別の詞を付け、北米でも52年にジョージア・ギブスが「火の接吻」として歌い世界的に有名になった。

京谷弘司:いつもブエノスアイレスへ
1985年来、数度にわたりブエノスアイレスを訪問し、録音なども行なった京谷のタンゴの本場にかける想いがよく伝わってくる。2003年にはこれら自作曲を含むCDをブエノスアイレスで録音し大好評を博した。

京谷弘司:回想
アストル・ピアソラから「近い将来私のライバルとなるコウジ」とまで言われた京谷の演奏家としてのみでなく、作曲家としての才能も堪能できる曲。1996年の初CDのタイトルがこの曲であった。

ディセポロ:ジーラ・ジーラ
1930年の作品。題名は『巡る、巡る』という意味で、人生の無情(無常)さを皮肉っている。昭和初期からディック・ミネ、淡谷のり子らが歌ったので、日本では最も有名なタンゴかも知れない。

ピアナ:悲しきミロンガ
これもピアナ=マンシのコンビによるミロンガ復活の代表作で、1936年の作品。楽譜にはミロンガ・カンペーラ(田園風のミロンガ)と副題が付いている。『君の初々しい口にキスした私の唇が君を傷つけた……』と歌われる。

バルディ:最後の逢い引き
バルディもタンゴ草創期のピアノ・バイオリン奏者。極めて多くの作品があるが、中でも「ガージョ・シエゴ(盲目の雄鶏)」は今日のダンス・シーンで最もよく演奏される曲。1925年の作品。

カステジャーノス:刃物騒ぎ
楽譜には「ミロンガ・タンゲアーダ(タンゴ風ミロンガ)」と副題されているが、これはミロンガ中のミロンガ。1936年にファン・ダリエンソ楽団が初演したと言われ、37年以降4回も録音している。

カルダレーラ−スカルピーノ:パリのカナロ
1925年、フランシスコ・カナロのパリ公演大成功を讃えた曲。半音階の派手な前奏から始まる三部構成。第三部で「変奏の王者」と言われたスカルピーノが作ったバンドネオン変奏と、流麗な対旋律が得意のカルダレーラのメロディが調和する。

トロイロ:それがどうした?
1960年、アニバル・トロイロの曲にカトゥロ・カスティージョが作詞して、ディセポロの音楽喜劇「カラメロス・スルティドス(詰合せキャンディ)」(1931年)を再演した。これはその中で使われた俗語溢れる曲。

ペトロッシ:魅せられし心
作詞作曲のオラシオ・ペトロッシはカルロス・ガルデルの伴奏も務めたギター奏者。1928年の作品で、『タンゴ、タンゴ…今日お前の助けがいる…彼女の悩みを救うために…』と印象深く歌う。

ピアソラ:アディオス・ノニーノ
ピアソラ最高傑作の一つ。1959年、プエルトリコ巡業中に父“ノニーノ”の死を聞いたピアソラがニューヨークで一気に書き上げた。タンゴを超えて、どれだけ多くのジャンルの人たちがこの曲を演奏していることか!?

ピアソラ:ブエノスアイレスの夏
ピアソラは1965年から1969年にかけて“ブエノスアイレスの四季”シリーズを作曲したが、これはその最初の作品。4作品ともそれぞれの魅力があるが、特にこの“夏”は迫力に富んでいる。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 後援:アルゼンチン共和国大使館 協力:株式会社ラティーナ

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