PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2014-

シューベルトの夕べ
~ピアノ五重奏曲《ます》室内楽名曲選

プログラム詳細

© 青柳 聡
■日時・会場
2014.3.25 [火] 19:00開演(18:30開場)※ この公演は終了いたしました。
東京文化会館 小ホール

■出演
ヴァイオリン:堀 正文
ヴィオラ:佐々木 亮
チェロ:木越 洋
コントラバス:吉田 秀
ピアノ:ゲルハルト・オピッツ

■曲目
シューベルト:
 弦楽三重奏曲 第1番 変ロ長調 D.471 speaker.gif[試聴]
 ヴァイオリン・ソナチネ 第3番 ト短調 D.408 speaker.gif[試聴]
 アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D.821 speaker.gif[試聴]
 ピアノ五重奏曲 イ長調 D.667 《ます》 speaker.gif[試聴]
 [※ヴィオラ:佐々木 亮]

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

ヴァイオリン:堀 正文 Masafumi Hori 1974年よりダルムシュタット国立歌劇場管弦楽団の第1コンサートマスターに就任。1979年NHK交響楽団にコンサートマスターとして入団。現在、ソロ・コンサートマスターとしての重責を果たすとともに、数多くのソロリサイタル、N響室内合奏団を始めとする室内楽に幅広く活躍している。またN響での功績に対して有馬賞を受賞している。演奏活動の傍ら、▼続きを見る ジュネーヴ国際音楽コンクール等の審査員を務め、また桐朋学園大学等で後進の指導にもあたっている。

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ヴァイオリン:堀 正文 Masafumi Hori

ヴィオラ:佐々木 亮 Ryo Sasaki 東京藝術大学附属高等学校を経て、東京藝術大学卒業。1991年、東京現代音楽祭(現音)室内楽コンクール第1位、朝日現代音楽賞受賞。92年、東京国際音楽コンクール(民音)室内楽部門第2位、ルフトハンザ賞受賞。東京藝術大学在学中、安宅賞受賞、藝大オーケストラと共演。同大学卒業後、ニューヨーク・ジュリアード音楽院に奨学生として入学。▼続きを見る アスペン音楽祭、マールボロ音楽祭に参加。同音楽院を卒業後、ソロ、室内楽奏者として全米各地で活動。これまでに内田光子、ヒラリー・ハーン、ナージャ・サレルノ=ソネンバーグ、リン・ハレル等と共演し、好評を博す。また、掛谷洋三、澤 和樹、田中千香士、ドロシー・ディレイ、川崎雅夫の各氏に師事。室内楽を兎束俊之、F.ガリミア、J.ラタイナ-の各氏に師事。CDはEMI/Angelよりチャイコフスキー弦楽六重奏、ブラームス弦楽六重奏をリリース。2004年5月NHK交響楽団入団、08年1月より首席奏者。アポロ弦楽四重奏団、東京クライス・アンサンブル、室内オーケストラ「アルクス」、岡山潔弦楽四重奏団メンバー。桐朋学園大学、洗足学園音楽大学で後進の指導にもあたっている。 ▲プロフィールを閉じる

ヴィオラ:佐々木 亮 Ryo Sasaki

チェロ:木越 洋 Yo Kigoshi 1953年生まれ。1977年桐朋学園ディプロマコース修了。同年、新日本フィルハーモニー交響楽団に入団、首席奏者を務める。1978年からミュンヘン音楽大学でワルターノータス氏に師事。1980年に帰国し、NHK交響楽団に首席奏者として入団。以来30年にわたり数々の名演を共にする。
ソリスト、室内楽の奏者としての活動も意欲的に行っており、2007年からは、▼続きを見る立って弾くチェロのスタイルで、シリーズ「音楽博物館」を開始。落ち着いた色に染まりがちなチェロの世界に新たな音色を見出し、その可能性を広げている。
現在、洗足学園大学客員教授、桐朋学園大学講師。
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チェロ:木越 洋 Yo Kigoshi

コントラバス:吉田 秀 Shu Yoshida 1986年、東京藝術大学音楽学部卒業。同大学管弦楽研究部首席奏者を経て、1991年NHK交響楽団に入団。現在、首席奏者を務める。室内楽の分野ではオーギュスタン・デュメイ、ピンカス・ズッカーマン、ライナー・キュッヒル、マリア・ジョアン・ピリス、ヴォルフガング・サヴァリッシュ、カルミナ弦楽四重奏団、ベルリン・フィルハーモニー・ピアノ四重奏団、ターリッヒ弦楽四重奏団、 ▼続きを見る メロス弦楽四重奏団、ゲヴァントハウス弦楽四重奏団、ウィーン弦楽トリオ等と共演。またオイロスアンサンブル、東京シンフォニエッタ、いずみシンフォニエッタ大阪、紀尾井シンフォニエッタ東京、鎌倉ゾリステン等のメンバーとしても活動。霧島国際音楽祭、宮崎国際音楽祭等にも参加。東京音楽大学客員教授、京都市立芸術大学非常勤講師を務める。 ▲プロフィールを閉じる

コントラバス:吉田 秀 Shu Yoshida

ピアノ:ゲルハルト・オピッツ Gerhard Oppitz ゲルハルト・オピッツはドイツ・ピアノの正統派を代表する演奏家として国際的にその名を知られている。音楽解釈におけるこの楽派の流れは、オピッツ自身の師であるヴィルヘルム・ケンプに繋がり、そしてその源流は、リストやベートーヴェンにまで直接遡る。
1953年、バイエルン州に生まれ、5歳のときにピアノを始めた彼は、11歳で早くも公式の場で▼続きを見るモーツァルトのニ短調協奏曲を演奏した。その際に演奏を聴いたシュトゥットガルト国立音楽大学の教授パウル・バックに見出され、1974年、ミュンヘンに移り住むまで、彼の元で研鑽を積む。
1973年ヴィルヘルム・ケンプと出会い、教えを受けるようになった彼は、ケンプから主にベートーヴェンのソナタと協奏曲について学んだ。師のケンプは、自身の解釈との著しい相似性に感服、彼の遺志により、オピッツは後継者として音楽的伝統を引き継ぐこととなった。
1977年、第2回アルトゥール・ルービンシュタイン・コンクールで第1位優勝。この優勝により、一躍、世界的に脚光を浴びる。翌年には、名門ドイツ・グラモフォンより最初のレコードをリリース。1981年、ミュンヘン国立音楽大学で開校以来最も若い教授となる。これまでに、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団をはじめ、バイエルン放送交響楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ボストン交響楽団、フィラデルフィア管弦楽団、クリーヴランド管弦楽団、ピッツバーグ交響楽団等のオーケストラ、カルロ・マリア・ジュリーニ、リッカルド・ムーティ、ロリン・マゼール、ズービン・メータ、サー・コリン・デイヴィス、ヴォルフガング・サヴァリッシュ、ホルスト・シュタイン、サー・ネヴィル・マリナー、ヘルベルト・ブロムシュテット、ドミトリー・キタエンコ、ガリー・ベルティーニ等の指揮者と共演している。近年はリッカルド・ムーティの信頼厚く、各地で共演を重ねており、2006年ウィーンの楽友協会大ホールでバイエルン放送交響楽団と、2007年にはニューヨーク・フィルハーモニック定期で共演をし、ニューヨーク・タイムス等で絶賛された。
バッハからブーレーズまで幅広いレパートリーを持つが、特にシューベルト、ベートーヴェン、モーツァルト、バッハ、グリーグ、ブラームスのピアノ作品全曲を重要なレパートリーとしている。とりわけベートーヴェンとブラームスに関しては、世界最高の演奏者の一人として高く評価されており、世界各国で、ベートーヴェンおよびブラームスの全曲演奏会をたびたび行っている。
これまでに発売されたCDは既に40枚を超え、1989年から1997年までBMG/RCAと専属契約を結んでレコーディングを行った。その中には、ベスト・セラーとなったブラームスのピアノ曲全作品集、コリン・デイヴィス指揮バイエルン放送交響楽団とのブラームスおよびウェーバーのピアノ協奏曲集、グリーグのピアノ曲全作品集、マレク・ヤノフスキ指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団とのベートーヴェンのピアノ協奏曲集がある。最近ではヘンスラー・レーベルから継続的に作品を発表しており、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集に続き、シューベルトのピアノ作品集(全12枚)がリリースされた。
日本では1994年、NHKテレビのゴールデン・タイムで通算7時間にわたって放映されたベートーヴェン・ソナタ集の演奏およびレッスンが、爆発的人気を呼んだ。2005~08年にわたり日本で開催した「ベートーヴェン・ソナタ全曲演奏会」は、彼自身日本で初めての試みであり、大絶賛のうちに終了した。その後は大型プロジェクト第2弾として、シューベルトのピアノ作品集全12枚の録音、2010~13年にわたり東京にてシューベルト連続演奏会を開催。親日家でもあり、日本で最も人気のあるピアニストの一人である。

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ピアノ:ゲルハルト・オピッツ Gerhard Oppitz

■曲目解説

シューベルト:
弦楽三重奏曲 第1番

 1816年に書かれたこの弦楽三重奏曲は、第1楽章と第2楽章の途中で中断された。理由は明らかではないが、モーツァルト的な愛らしさを持った軽やかな旋律は、捨てがたい魅力を感じさせる。シューベルトはこの1年後の1817年、同じ調性でもう1つの弦楽三重奏曲D.581を完成させている。シューベルトが書いた弦楽三重奏曲はこの2曲のみである。

ヴァイオリン・ソナチネ 第3番
 歌曲《魔王》が生まれた翌年の1816年、19歳のシューベルトは3つのヴァイオリン・ソナタ(第1番~第3番)を書いている。これらは1836年出版の際に「ソナチネ」(小さなソナタ)と記されたので、この名称で表記されることが多い。私的な集まりのために書かれたと思われ、シンプルで初々しい表情が心に残る佳品となっている。

アルペジオーネ・ソナタ
 ウィーンの楽器製作者シュタウファーが1823年に発案したアルペジオーネというフレット付きの弦楽器は、いわばチェロのように弾くギターだったが、普及には至らなかった。本作は、アルペジオーネのために書かれたものとしては、おそらく現存する唯一の楽曲で、ヴィオラ以外にも、チェロやギターなど様々な楽器で演奏されている。シューベルトならではの哀愁を湛えた作品は(当の楽器はさておき……)今日に至るまで愛聴され続けている。

ピアノ五重奏曲《ます》
 本曲は「ピアノ五重奏」と言っても、ピアノに4種の弦楽器(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)が加わるという一風変わった編成となっている。作曲は1819年とされ、全5楽章の構成。第1楽章アレグロ・ヴィヴァーチェは、ピアノの分散和音で幕を開け、豊かな低音に支えられてヴァイオリンやチェロが主題旋律を優美に歌う。第2楽章アンダンテでは、叙情的な気分の中にいくぶんメランコリックな影が差すものの、第3楽章プレストは気分を一新して、躍動するスケルツォとなる。そして最大の聴きどころである第4楽章アンダンティーノでは、作品の愛称にもなっている歌曲「ます」D.550のメロディが用いられ、最初はゆったりと、そして次第にテンポを上げながら変奏されていく。第5楽章アレグロ・ジュストは、軽やかな民俗舞曲調の主題に明るく歌うメロディが加わって小結尾を迎え、後半は移調してまた清々しい気分の変転を繰り返したのち、全曲を閉じる。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会

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