PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2014-

にほんのうたⅣ~東京オペラシンガーズ
合唱で聴く美しい日本の歌

プログラム詳細

© ヒダキトモコ
■日時・会場
2014.3.22 [土] 14:00開演(13:30開場)※ この公演は終了いたしました。
東京文化会館 小ホール

■出演
合唱:東京オペラシンガーズ
 ソプラノ:黒田なるみ、駒井ゆり子、馬原裕子
 アルト:磯地美樹、菅原章代、橋本恵子
 テノール:真野郁夫、渡邉公威、渡辺 大
 バス:寺本知生、成田 眞、藪内俊弥
指揮:宮松重紀
ピアノ:寺嶋陸也
児童合唱:初音の杜ジュニアコーラス
※当初発表の出演者より変更になりました

■曲目
この道:北原白秋・作詞/山田耕筰・作曲(林光・編曲)
からたちの花:北原白秋・作詞/山田耕筰・作曲(林光・編曲)
待ちぼうけ:北原白秋・作詞/山田耕筰・作曲(林光・編曲)
:武島羽衣・作詞/滝廉太郎・作曲
箱根八里:鳥居忱・作詞/滝廉太郎・作曲(林光・編曲)
春が来た:高野辰之・作詞/岡野貞一・作曲(寺嶋陸也・編曲)
春の小川:高野辰之・作詞/岡野貞一・作曲(源田俊一郎・編曲)
朧月夜:高野辰之・作詞/岡野貞一・作曲(源田俊一郎・編曲)
紅葉:高野辰之・作詞/岡野貞一・作曲(飯沼信義・編曲)
日の丸の旗:高野辰之・作詞/岡野貞一・作曲(寺嶋陸也・編曲)
ふるさと:高野辰之・作詞/岡野貞一・作曲(寺嶋陸也・編曲)
春よ来い:相馬御風・作詞/弘田龍太郎・作曲(寺嶋陸也・編曲)
ふじの山:巌谷小波・作詞/作曲不詳(寺嶋陸也・編曲)
茶摘み:作詞不詳/作曲不詳(源田俊一郎・編曲)
:作詞不詳/作曲不詳(寺嶋陸也・編曲)
知床旅情:森繁久彌・作詞作曲(寺嶋陸也・編曲)
夕焼け小焼け:中村雨紅・作詞/草川信・作曲(飯沼信義・編曲)
村祭り:作詞不詳/作曲不詳(若林千春・編曲)
野菊:石森延男・作詞/下総皖一・作曲(寺嶋陸也・編曲)
新雪:佐伯孝夫・作詞/佐々木俊一・作曲(寺嶋陸也・編曲)
虹と雪のバラード:河邨文一郎・作詞/村井邦彦・作曲(寺嶋陸也・編曲)
どこかで春が:百田宗治・作詞/草川信・作曲(寺嶋陸也・編曲)
[アンコール]
花の街:江間章子・作詞/団伊玖磨・作曲
ふるさと:高野辰之・作詞/岡野貞一・作曲

出演者

合唱:東京オペラシンガーズ Tokyo Opera Singers 1992年、小澤征爾指揮、蜷川幸雄演出で話題を呼んだ《さまよえるオランダ人》の公演に際して、世界的水準のコーラスをという小澤氏の要望により、東京を中心に活躍する中堅、若手の声楽家によって組織された。当公演の合唱は圧倒的な成果を上げ、各方面から絶賛を受けた。その評価により同年、第1回サイトウ・キネン・フェスティバル松本《エディプス王》、バイエルン国立歌劇場▼続きを見る日本公演《さまよえるオランダ人》(ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮)に招かれ、再び高い評価を得た。翌1993年から活動は本格化し、サイトウ・キネン・フェスティバル松本(2009年まで連続出演)、東京フィルハーモニー交響楽団主催コンサート(出演したオペラコンチェルタンテ・シリーズ「ヒンデミット3部作:大野和士指揮」は文化庁芸術祭大賞受賞)、東京・春・音楽祭等を活動の中心に置く他、ベルリン・コーミッシェ・オーパー、キーロフ歌劇場管弦楽団(ヴァレリー・ゲルギエフ指揮)、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団(ユーリ・テミルカーノフ指揮)、イタリア国立放送交響楽団等の来日公演に出演、音楽界の活性化に大きく貢献することとなった。1998年には長野冬季オリンピック開会式において、世界6ヵ国を結ぶ《第九》合唱で、中心となる日本側の演奏を担当した。1999年にはヨーロッパの代表的音楽祭の一つであるエディンバラ音楽祭に出演(東急文化村制作《トゥーランドット》)、最大級の賞賛を得た。2000/01年ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と共演(小澤征爾、サイモン・ラトル指揮)、同楽団からも高い評価を得た。東京・春・音楽祭には、東京のオペラの森合唱団として第1回から連続出演。2006/07/10年に共演したリッカルド・ムーティ(ヴェルディ《レクイエム》、オルフ《カルミナ・ブラーナ》他)からも高い評価を得ている。2010年からスタートした東京春祭ワーグナー・シリーズ《パルジファル》にも出演、好評を得た。2011年には主要メンバーによる「にほんのうた」シリーズを開始。また急きょ開催されたズービン・メータ指揮《第九》(東日本大震災被災者支援チャリティーコンサート)にも出演、当公演は大きな感動を呼んだ。▲プロフィールを閉じる

指揮:宮松重紀 Shigeki Miyamatsu 1963年、横浜生まれ。横浜国立大学教育人間科学部を卒業後、東京藝術大学指揮科を1991年、首席にて卒業する。指揮を山田一雄、遠藤雅古の各氏に師事。1989年にはイタリアのキジアーナ音楽院に学び、ロジェストヴェンスキーに師事。東京二期会や日生劇場等のオペラ公演に副指揮として携わり、小澤征爾、若杉弘、外山雄三等のもとで研鑽を積む。1989年、新星日本交響楽団を▼続きを見る指揮してデビュー。1992年、東京オペラ・プロデュース公演《ドン・ジョヴァンニ》でオペラデビュー。以来、東京フィルハーモニー交響楽団・東京交響楽団・東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団・神奈川フィルハーモニー管弦楽団・仙台フィルハーモニー管弦楽団・群馬交響楽団・広島交響楽団・大阪センチュリー交響楽団等を数多く指揮し、いずれも高い評価を得た。特に東京フィルハーモニー交響楽団との関係は長く、新星日本交響楽団時代を含めると、指揮した演奏会は100を超えている。またオペラ公演では、新国立劇場や二期会を始め、横浜シティオペラ、関西二期会等、全国各地でのオペラ公演も数多く指揮。様々な演出家、歌手とともに多数の公演を上演し、多くの信頼を得ている。特に2001年、新国立劇場主催公演ロッセリーニ《花言葉》では「大きな流れと繊細さを併せ持つ指揮者」(「日本経済新聞」)「歌手を自由にさせながら、オーケストラを歌わせる能力に舌を巻く」(「音楽の友」)と絶賛される。知られざるオペラの発掘にも意欲的で、カールマン《サーカスの女王》、ペルゴレージ《やきもち亭主》を日本初演している。近年では2008年に渡伊、ミラノ・スカラ座にて研修。スカラ座公演、大野和士指揮《マクベス》に携わり、氏のアシスタントを務める。合唱指揮者としても絶大な信頼を得ており、日本における重要な公演に数多く携わっている。ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演(2000年、小澤征爾指揮)、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団(2006年ユーリ・テミルカーノフ指揮)、東京のオペラの森管弦楽団(2006/07年リッカルド・ムーティ指揮)、その他NHK交響楽団、東京都交響楽団、読売日本交響楽団の定期演奏会等に客演する。サイトウ・キネン・フェスティバル松本では、2000年のバッハ《ロ短調ミサ》の公演以来、長年に渡り合唱指導の責任を担っている。また、東京オペラシンガーズとの関係も大変深く、東日本大震災チャリティー・コンサート《第九》(ズービン・メータ指揮NHK交響楽団)を始め、数多くの公演を成功へと導いている。東京混声合唱団のコンダクター・イン・レジデンスも務める。2014年には、フランス放送合唱団の音楽監督マティアス・ブラウアーの招聘により、同合唱団の定期演奏会への客演が予定されている。ピアニストとして、東京フィルハーモニー交響楽団、読売日本交響楽団のメンバーとサロンコンサートを行い、歌手リサイタルの伴奏を続けており、「劇的な表現にもかかわらず歌手と一つに溶け合う」(「神奈川新聞」)と評される。2008年、広島市民オーケストラと自身の弾き振りで、モーツァルト《ピアノ協奏曲ハ短調》を演奏し、絶賛された。また、編曲の活動も行っており、作品は自身の指揮で、新星日本交響楽団や東京交響楽団で演奏された。クラシック以外にも活動を広げており、小椋佳、チャゲ&飛鳥、小松亮太(バンドネオン)、藤原道山(尺八)とのコラボレーションや、東京フィルハーモニー交響楽団によるアニメ音楽のCDもエイベックスから発売されている。現在、母校である横浜国立大学の講師として、後進の育成に情熱を注いでいる。 ▲プロフィールを閉じる

指揮:宮松重紀 Shigeki Miyamatsu

ピアノ:寺嶋陸也 Rikuya Terashima 1964年生まれ。東京藝術大学音楽学部作曲科卒、同大学院修了。オペラシアターこんにゃく座での演奏や、1997年、東京都現代美術館でのポンピドー・コレクション展開催記念サティ連続コンサート「伝統の変装」、2003年パリ日本文化会館における作品個展「東洋・西洋の音楽の交流」等は高く評価された。2006年にはタングルウッド音楽祭に招かれボストン交響楽団のメンバーと ▼続きを見る 自作を含む室内楽を演奏。作曲の他、ピアノ演奏や指揮、音楽祭の音楽監督等、活動は多岐にわたる。オペラ《ガリレイの生涯》《末摘花》、カンタータ《伊邪那岐・伊邪那美》、合唱ファンタジア《オホホ島奇譚》《樹の奇・危・嬉~ピカソくんとうたおう》、ヴォードヴィル《タバコの害について》、《尺八・二十絃箏と管弦楽のための協奏曲》、合唱のための《詩篇第49番》《沖縄のスケッチ》、オーボエ・三味線と打楽器のための《異郷の景色》、古代復元楽器のための《大陸・半島・島》、朗読と筝、室内管弦楽のための《貝の火》他、作品多数。『大陸・半島・島/寺嶋陸也作品集』(ALCD-9026)、『二月から十一月への愛のうた(栗山文昭の芸術2/寺嶋陸也作品集)』(VICS-61092)その他、室内楽や歌曲のピアノ等、多くのCDがある。
作品はこれまで国内はもとよりイタリア、イギリス、フランス、オランダ、スペイン、アメリカ合衆国等でも演奏されている。

公式サイト http://www.gregorio.jp/terashima/

© 渡辺 力 ▲プロフィールを閉じる

ピアノ:寺嶋陸也 Rikuya Terashima

児童合唱:初音の杜ジュニアコーラス Hatsunenomori Junior Chorus 2009年9月に産声をあげた日本声楽家協会が運営する少年少女合唱団。谷根千で人気の谷中にある幼稚園内の音楽スタジオや、お寺の本堂を主な活動場所としている。団員は年長から中学生までの24名。「合唱という共同創造を通じ、人を思いやる心を育て、想像力や音楽性を養いながら友情を育むこと」を目的に、歌を日常に携えることができる子供たちを目指している。▼続きを見る 年に1度の定期演奏会「音楽の杜」の他、2012年11月には東武浅草駅オープンインイベント「EKIMISE」で演奏をおこなう。2014年2月には下町ジュニアコーラスフェスティバル(かつしかシンフォニーヒルズ)に出演。▲プロフィールを閉じる

■曲目解説

山田耕筰:「この道」「からたちの花」「待ちぼうけ」
 日本の楽壇創設に尽力し、西洋音楽の普及に努めた山田耕筰は東京・本郷の生まれ。この3曲はいずれも北原白秋の作詞による。「この道」の詩には、白秋が北海道を旅行した際の印象と、母との思い出が織り込まれている。「からたちの花」は、山田耕筰自身の思い出を詩にしたものと言われている。カラタチは唐橘(からたちばな)に由来するミカン科の低木で、鋭い刺があることから、生垣などに用いられた。「待ちぼうけ」の歌詞は、中国の『韓非子』にある説話をもとにしている。

瀧 廉太郎:「花」「箱根八里」
 瀧廉太郎は日本におけるクラシックの黎明期に活躍した作曲家。この2曲はいずれも明治末期に作曲された。「花」は歌曲集《四季》(全4曲)の第1曲。美しい日本の春の情景を描く歌詞は、武島羽衣による。「箱根八里」は、鳥居忱の作詞だが、漢籍の素養が盛り込まれているため、少々難解かもしれない。

岡野貞一:「春が来た」「春の小川」「朧月夜」「紅葉」「日の丸の旗」「ふるさと」
 岡野貞一は鳥取県出身で、数多くの文部省唱歌を作曲した(文部省唱歌の中には作者の同定が現在でも困難なものがある)。この6曲は、国文学者で作詞家の高野辰之とのコンビにより、文部省唱歌を代表する曲である。「春が来た」には、限られた言葉で春を丸ごと掴み取るような絶妙さがある。「春の小川」のモデルとなった川は、代々木公園付近を通って渋谷へ流れていた河骨(こうほね)川。この川も現在は暗渠となっており、隔世の感がある。「朧月夜」では、朧月のように霞む春宵の情景が、洗練された日本語で歌われる。「紅葉」は、山ふもとの紅葉の美しさを歌った、日本の秋を象徴する歌である。「日の丸の旗」は、日章旗をそのまま歌にしたようなシンプルな曲。「ふるさと」の風景は、作詞者・高野辰之の故郷、長野県・北信地方のものだろうか。望郷の歌として忘れ難い作品である。

日本の四季の歌
 「春よ来い」の作詞は、早稲田大学校歌も手がけた詩人・相馬御風による。「ふじの山」の作曲家は不詳だが、日本の名峰・富士山を歌う曲として最も有名である。作詞は童話作家でもあった巌谷小波。「茶摘み」は、作詞作曲ともに不詳。晩春から初夏にかけての風物詩である茶摘みの情景を歌っている。
 「海」は、作詞・作曲ともに不詳。第1節で昼の海が、第2節で夜の海が歌われ、その言葉から漁村の風景であることが分かる。「知床旅情」は、俳優の森繁久彌が作詞・作曲を手がけた。発表は昭和35年。
 「夕焼け小焼け」は中村雨紅の詩に、遠い追憶へと誘うようなメロディが草川信によって付けられた。「村祭り」は、作詞・作曲ともに不詳。笛太鼓が聞こえてきて、思わず踊り出したくなるような曲である。「野菊」は昭和17年の発表だが、戦時下であることを感じさせない。野菊は晩秋に道端や土手に咲く可憐な小花である。
 「新雪」は、昭和17年に発表された作品で、戦前戦後を通して活躍した佐々木俊一・佐伯孝夫のコンビによる。「虹と雪のバラード」は、札幌冬季オリンピック(1972年2月開催)のテーマソングだった。「どこかで春が」は、大正12年に発表された作品で、素朴ながらもどこか気品を感じさせる曲である。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会

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