東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2013-
ミュージアム・コンサート朴 葵姫 ギター・リサイタル
数々のコンクールで優勝を重ねるギター界の新星、朴葵姫によるギターの名曲を集めたリサイタルです。今、最も注目されるギタリストの演奏をお聴き逃しなく。
プログラム詳細
2013:04:03:14:00:00
2013.4.3 [水] 14:00開演(13:30開場)
国立科学博物館 日本館講堂
■出演
ギター:朴 葵姫
■曲目
ディアベッリ(ブリーム編):ソナタ イ長調
ファリャ:
漁夫の物語(バレエ音楽《恋は魔術師》より)

きつね火の歌(バレエ音楽《恋は魔術師》より)

粉屋の踊り(バレエ音楽《三角帽子》より)

トローバ:ギター・ソナチネ

タレガ:アルハンブラの思い出

アルベニス:
カタルーニャ奇想曲(組曲《スペイン》op.165より)

アストゥリアス(伝説)(《スペイン組曲》op.47より)

バリオス=マンゴレ:
みつばち

ワルツ第3番(《4つのワルツ》op.8より)

最後のトレモロ
[アンコール]
R.ディアンス:タンゴ・アン・スカイ
リョベート:聖母の御子
【試聴について】

プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。
出演者
ギター:朴 葵姫(パク・キュヒ) Kyuhee Park 1985年、韓国仁川生まれ。3歳の時、横浜にてギターを始め、幼少の頃から数々のギターコンクールで入賞。2004年、東京音楽大学に入学、05年、小澤征爾指揮によるオペラ公演に参加。06年9月よりオーストリア・ウィーン国立音楽大学に留学。これまでに、荘村清志、福田進一、アルヴァロ・ピエッリの各氏に師事。05年、韓国ギター音楽コンクール優勝、
●ディアベッリ(ブリーム編):ソナタ イ長調
ベートーヴェンやシューベルトの楽譜出版を手掛けた人物として知られるディアベッリだが、実は出版業を始める以前は、ウィーンでピアノとギターの教師として生計を立てており、かのハイドンに師事したこともあった。
ジュリアン・ブリームによるこの編曲では、ソナタ第3番(ヘ長調)の前半楽章とソナタ第2番(イ長調)の後半楽章が組み合わされており、2つのソナタの優れた楽章で構成される本曲は、ディアベッリの代表作としてギターの古典作品における貴重なレパートリーの1つとなっている。
●ファリャの作品より
バレエ音楽《恋は魔術師》は、スペインを代表する作曲家ファリャの出世作。アンダルシア地方を舞台に若い未亡人が恋路を邪魔する亡霊をすり抜けて、めでたく恋を成就させる物語。二度の改訂を経て、歌付きのバレエ組曲に改作されたもので、民族情緒豊かな作品である。「漁夫の物語」は、占い師たちが魔法の輪を作る様子を表現した神秘的な曲。「きつね火の歌」は、主人公カンデーラによって歌われる、怪しいきつね火をモチーフにしたエキゾチックな音楽である。
バレエ音楽《三角帽子》は、バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)を主宰するディアギレフの依頼により書かれ、ファリャの成功を不動のものにした。「粉屋の踊り」は、第2幕で聖ヨハネ祭の夜に粉屋が踊る激しいファルーカ(男性が踊るフラメンコの一種)の音楽である。
●トローバ:ギター・ソナチネ
ファリャ以降のスペイン・ギター音楽を代表する作曲家トローバは、スペインの国民歌劇であるサルスエラの作曲家として活躍したが、名ギタリスト・セゴビアに触発され、数多くのギター曲を残している。スペイン情緒溢れるこのソナチネは、3楽章構成となっており、スペイン国民楽派の伝統を受け継ぐ作品である。
●タレガ:アルハンブラの思い出
アルハンブラとは、元来アラビア語で「赤い城塞」の意。アンダルシアの古都グラナダに13世紀に建立されたイスラム宮殿で、その美しい建造物は世界遺産にもなっている。全編に渡るトレモロが繊細な旋律を紡ぎ、まるで宮殿の見事なアラベスク文様を浮き彫りにしたかのような印象を醸す。
●アルベニス:カタルーニャ奇想曲(組曲《スペイン》op.165より)
6つの小品からなる組曲《スペイン》の第5曲。バルセロナを州都としたカタルーニャ地方は、パブロ・カザルスの故郷としても知られるが、アルベニスは自らの生まれ故郷でもあるカタルーニャに材をとり、心地よい旋律を生み出した。同地のゆるやかで穏やかな時間のなか、低く流れる雲を思わせるように時おり陰影をよぎらせながら、明るい旋律が流れる。
●アルベニス:アストゥリアス(伝説)(《スペイン組曲》op.47より)
作品47とされたこの組曲(全8曲)は結局半分しか完成されず、没後に残りの部分を出版社が補って編集した。本曲「アストゥリアス」は、スペインのギター曲として非常にポピュラーな作品で、アルベニス独自の民族性に基づいた美しい旋律が発揮されている。
●バリオス=マンゴレの作品より
アグスティン・バリオスは、南米パラグアイ出身のギタリスト・作曲家。「マンゴレ」とはパラグアイの英雄的なインディオ首長から彼自身が取ってつけた芸名で、祖国に対する誇りを表している。今回演奏される「みつばち」は、3連音符で情熱的に奏されるエチュード。「ワルツ第3番」は、哀愁のこもったロマンチックなワルツ。「最後のトレモロ」の原題は「神様の愛に免じてどうかわずかな施しを」という行乞の決まり文句で、晩年のバリオスが物乞いの老婆の口調に想を得て書いたという。トレモロ奏法で歌われる、死の予感にも似て美しく、どこか物哀しい曲である。
主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:国立科学博物館