東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2013-
ミュージアム・コンサート川崎洋介 ヴァイオリン・リサイタル
アメリカを拠点に活躍し、サイトウ・キネン・オーケストラや水戸室内管弦楽団などでお馴染みの川崎洋介による待望の東京でのリサイタルが実現。バッハからバルトークまで、その魅力を余すところなくお届けします。
プログラム詳細
2013:03:30:14:00:00
2013.3.30 [土] 14:00開演(13:30開場)
国立科学博物館 日本館講堂
■出演
ヴァイオリン:川崎洋介
ピアノ:ヴァディム・セレブリャーニ
■曲目
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調 op.24《春》

J.S. バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ短調 BWV1003

バルトーク:ヴァイオリン・ソナタ 第2番

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ長調 op.100

[アンコール]
メシアン:
世の終わりのための四重奏曲より第8楽章(終楽章)「イエスの不滅性への賛美」
【試聴について】

プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。
出演者
ヴァイオリン:川崎洋介 Yosuke Kawasaki 6歳から父・川崎雅夫の手ほどきを受け、ヴァイオリンを始める。10歳でジュリアード音楽院予科に入学を認められ、D.ディレイ、H.カン、F.ガリミア、J.スミルノフに師事し、1998年に卒業。これまでにアスペン室内管弦楽団、グリニッジ・ヴィレッジ管弦楽団、アイダホ州・市民交響楽団、九州交響楽団、リマ・フィルハーモニー管弦楽団、
ピアノ:ヴァディム・セレブリャーニ Vadim Serebryany トロントの王立音楽院を優秀な成績で卒業後、ニューヨークのジュリアード音楽院でO.ウアブロンスカ、J.シュタイナーのもとで研鑽を積み、学士及び修士の学位を取得。その後イェール大学にてB.ベルマンに師事、博士課程を修了した。卒業後は、ヨーロッパから南米、オーストラリア、そして北米の広い範囲でソリストや室内楽奏者として活躍し、
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 BWV1003
J.S.バッハがケーテンの宮廷楽長時代、35歳の1720年に作曲された「6曲の無伴奏ヴァイオリンのための独奏曲」としてまとめられた作品群のひとつ。6曲の構成は、「緩 — 急 — 緩 — 急」の教会ソナタ形式をとる3曲の「ソナタ」と、「アルマンド/クーラント/サラバンド/ジーグ」を基本とする3曲の「パルティータ」からなる。
3曲のソナタは、いずれも第2楽章に「フーガ」を配しているのが特徴で、本作第2楽章のフーガでは、旋律と通奏低音を同時に演奏する高度なテクニックが要求される。
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番 ヘ長調 op.24《春》
第9番《クロイツェル》と並んでベートーヴェンのもっとも有名なヴァイオリン・ソナタで、「ハイリゲンシュタットの遺書」が書かれる前年の1801年に作曲された。初期の作風に見られるハイドンやモーツァルトの影響から脱却し、ベートーヴェン独自の作風が確立されている。第1楽章と第4楽章の明るく開放的で伸びやかな旋律、第3楽章の跳躍するような楽想などから《春》という表題が付けられているが、これはベートーヴェン自身によるものではない。
バルトーク:ヴァイオリン・ソナタ 第2番
早い段階からハンガリーなどの民謡を西洋音楽に取り入れたバルトークは、40歳をむかえた1921年頃を境に、それらの素材に内在する音楽語法と西洋音楽の語法の融合を目指した、より抽象的で現代的な作風へと足を踏み入れた。
このヴァイオリン・ソナタ(1922年)もそうした作品のひとつ。ヴァイオリンの技法が尽くされた、詩情をともなうラプソディ風の第1楽章と、めまぐるしく曲想を変える舞曲風の第2楽章からなるが、いずれもバルトークらしく高度に抽象化されている。2つの楽章はアタッカで切れ目なく演奏され、第2楽章では第1楽章と共通の素材を用いることで全体の統一が図られている。
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 op.100
ブラームスは青年時代に数曲のヴァイオリン・ソナタを作曲したとされるが、現存するのは3曲のみ。《雨の歌》という表題で知られる第1番は、ブラームスが46歳の1879年に完成され、本作の第2番はその7年後、すでに4曲の交響曲を書き終えた1886年に作曲された。各楽章間のモティーフの関連付けなど、円熟した技法がちりばめられており、ブラームスの室内楽のなかでももっとも旋律的に洗練された作品のひとつに数えられている。内省的でありながらも伸びやかな作品である。
主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:国立科学博物館