東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2013-
ミュージアム・コンサートN響メンバーによる弦楽四重奏 ~オール・ベートーヴェン・プログラム
ベートーヴェンの作曲変遷を辿るともいえるプログラミングで毎回人気の N 響メンバーによる弦楽四重奏。今年は「第九」や後期ピアノ・ソナタとその作曲年代が重なる大作、第12番にも期待が高まります。
プログラム詳細
2013:03:17:14:00:00
2013.3.17 [日] 14:00開演(13:30開場)
国立科学博物館 日本館講堂
■出演
N響メンバーによる弦楽四重奏
第1ヴァイオリン:山口裕之
第2ヴァイオリン:宇根京子
ヴィオラ:飛澤浩人
チェロ:藤村俊介
■曲目
ベートーヴェン:
弦楽四重奏曲 第6番 変ロ長調 op.18-6

弦楽四重奏曲 第8番 ホ短調 op.59-2《ラズモフスキー 第2番》

弦楽四重奏曲 第12番 変ホ長調 op.127

~関連コラム~
【試聴について】

プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。
出演者
第1ヴァイオリン:山口裕之 Hiroyuki Yamaguchi 鷲見三郎に師事。桐朋学園大学卒業。桐朋女子高等学校(共学)在学中の1969年に全日本学生音楽コンクール高等学校の部全国第1位。75年、第44回日本音楽コンクール第2位。77年、民音コンクール室内楽部門第2位(1位なし)。75年6月、在学中に東京フィルハーモニー交響楽団に入団、翌年卒業と同時にコンサートマスターに就任し、79年まで在籍。同年5月NHK交響楽団入団、
第2ヴァイオリン:宇根京子 Kyoko Une 桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学卒業。同大学研究科を修了後、スイス政府給費留学生として2002年、国立チューリヒ・ヴィンタートゥーア音楽大学ソリストディプロマコースに入学。04年、最高位でディプロマを取得し卒業。サイトウ・キネン・フェスティバル松本等の音楽祭や、小澤征爾音楽塾、トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ等に参加。
ヴィオラ:飛澤浩人 Hiroto Tobisawa 桐朋女子高等学校音楽科(共学)を経て同大学音楽学部卒業。卒業後、ヴィオラ奏者の店村眞積の薦めによりヴィオラに転向。1990年、第101回神奈川県立音楽堂推薦演奏会で第3回新人賞受賞。同年よりサイトウ・キネン・オーケストラのメンバーとして公演に参加。92年、フランスの第4回モーリス・ヴュー国際ヴィオラコンクール第2位(1位なし)。
チェロ:藤村俊介 Syunsuke Fujimura 1963年、東京生まれ。86年、桐朋学園大学卒業。この間、チェロを安田謙一郎に師事。日本演奏連盟賞受賞。第21回東京国際室内楽コンクール入選。第58回日本音楽コンクールチェロ部門第2位。桐朋学園オーケストラ、九州交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団等と共演。89年、NHK交響楽団入団。90年、東京文化会館で初リサイタルを開く。
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第8番 ホ短調 op.59-2《ラズモフスキー 第2番》
作品59の3曲の《ラズモフスキー》弦楽四重奏曲は、ベートーヴェンの中期を代表する弦楽四重奏曲で、ハイドンやモーツァルトといった先達の影響から完全に自立し、楽曲の構成原理や作品が内包する理念に至るまで、完全にベートーヴェン独自のスタイルを確立している。作曲時期は1806年で、ベートーヴェンが35歳から36歳にかけて。
この《ラズモフスキー 第2番》(ホ短調)は、大きく雄弁に展開する第1番(ヘ長調)と比べて、求心的で内省的な性格を持っており、とくに第1楽章と第2楽章のそれは密度が濃く、この時期のベートーヴェンの精神性を色濃く反映している。
表題にある「ラズモフスキー」はウィーン駐在のロシア大使で、彼から弦楽四重奏曲の依頼を受けたベートーヴェンは、第1番の終楽章とこの第2番の第3楽章の中間部でロシア民謡を引用している。
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第6番 変ロ長調 op.18-6
ベートーヴェンには、さまざまな楽曲で独自の創作技法を試みたあと、弦楽四重奏曲をまとめて作曲する傾向が見られる。作品18の第1番から第6番までの初期弦楽四重奏曲もそうしたシリーズのひとつ。1800年、30歳頃までに全曲の作曲を終えたとされ、年齢的にも20代の総決算と言えるだろう。
第6番 変ロ長調は、明るく躍動感にあふれた作品で、ハイドンやモーツァルトの影響が若干感じられるものの、同時期に作曲されたほかの作品と比べても、いっそう内容的に充実している。古典的な4楽章構成だが、第4楽章の冒頭に「マリンコニア(メランコリー)」と名付けられた序奏が置かれ、その旋律が主部にも表れているのが特徴である。
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第12番 変ホ長調 op.127
作品番号からもわかるように、《第9》交響曲(作品125)の完成後すぐに着手され、翌1825年に完成している。前作の第11番(作品95)の弦楽四重奏曲からこの作品のあいだには14年という長い年月が経過しており、本作以降がいわゆる「後期弦楽四重奏曲」と呼ばれ、5曲の弦楽四重奏曲と「大フーガ」など、深遠さに加え幽玄さをも感じさせるベートーヴェンの集大成にふさわしい作品群を形成している。
そうした中にあって「後期弦楽四重奏曲」の最初を飾る第12番は、円熟した独自の境地に達しながらも、比較的明るい曲想を持つ作品で、第2楽章には晩年のベートーヴェンが好んだ変奏曲形式が採られている。
主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:国立科学博物館