PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2013-

ピアノ・トリオで聴くドイツ・ロマン派
~シューマン、メンデルスゾーン、ブラームス

それぞれの楽器の個性がぶつかり合うピアノ三重奏は、知れば知るほど味わい深い編成です。室内楽の名手と今後の音楽界を担う俊英弦楽器奏者とで、「時間をかけ、丁寧に音楽を作り上げること」をポリシーとして結成されたトリオです。

プログラム詳細

2013:03:20:18:00:00

© 青柳 聡
■日時・会場
2013.3.20 [水・祝] 18:00開演(17:30開場)
旧東京音楽学校奏楽堂

■出演
ヴァイオリン:猶井悠樹
チェロ:奥泉貴圭
ピアノ:加藤洋之

■曲目
シューマン:ピアノ三重奏曲 第2番 ヘ長調 op.80 speaker.gif[試聴]
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲 第2番 ハ短調 op.66 speaker.gif[試聴]
ブラームス:ピアノ三重奏曲 第2番 ハ長調 op.87 speaker.gif[試聴]

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


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~関連動画~
オフィス街の銀行ロビーにて「夕べの音楽」をテーマに開催しています『TWILIGHT CONCERT』(制作協力:東京・春・音楽祭実行委員会)。
6月の公演で3名がお贈りしたチャイコフスキーの名曲を動画にて配信中です。
※㈱IIJのサイトへ移動します  ♪ プログラム詳細は こちら

出演者

ヴァイオリン:猶井悠樹 Yuki Naoi ドイツのボンに生まれる。桐朋女子高等学校音楽科を経て、同大学を卒業。多摩フレッシュ音楽コンサート2007弦楽器部門で最優秀賞受賞。これまでに、若い人のための「サイトウ・キネン室内楽勉強会」、小澤征爾音楽塾、軽井沢八月祭、東京・春・音楽祭、水戸室内管弦楽団等に参加。ドイツ・ハンブルクにてトーマス・ブランディスに師事、選抜コンサートに出演。 ▼続きを見る 2009年、小澤征爾音楽塾オーケストラ・プロジェクトにてコンサートマスターを務める。同年、桐朋学園室内楽演奏会にデュオで出演。積極的に室内楽やリサイタルにも取り組んでいる。これまでに、釋 伸司、奥田章子、加藤知子、堀 正文の各氏に師事。現在、NHK交響楽団団員。 ▲プロフィールを閉じる

ヴァイオリン:猶井悠樹 Yuki Naoi

チェロ:奥泉貴圭 Takayoshi Okuizumi 札幌出身。東京藝術大学附属音楽高等学校を卒業後、ドイツ・トロッシンゲン音楽大学を経て、2007年より2年間バイエルン国立歌劇場の契約団員として研鑽を積む。06年度文化庁在外研修員。1998年、札幌ジュニアチェロコンクール優秀賞。2004年ビバホールチェロコンクール2位。JTが育てるアンサンブルシリーズ、小澤征爾氏率いるスイス・インターナショナルアカデミー、 ▼続きを見る 小澤征爾音楽塾オーケストラ、サイトウ・キネン室内楽勉強会、水戸室内管弦楽団、東京・春・音楽祭等に参加。09年に帰国後、上野学園大学講師、オーケストラ客演首席奏者の活動を始めとし、ソロ、室内楽奏者として演奏活動を行っている。これまでに上原与四郎、河野文昭、原田禎夫、イフ・サバリーの各氏に師事。 ▲プロフィールを閉じる

チェロ:奥泉貴圭 Takayoshi Okuizumi

ピアノ:加藤洋之 Hiroshi Kato 東京藝術大学附属音楽高校を経て同大学卒業。「安宅賞」を受賞し、大学院在学中の1990年よりハンガリー国立リスト音楽院に留学、同年ジュネーヴ国際音楽コンクールに第3位入賞。その後ブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団やハンガリー国立交響楽団、ブルガリア国立放送交響楽団を始め国内外のオーケストラとの協演、リサイタル等の演奏活動を行う。 ▼続きを見る 96年にケルンへ移り室内楽にも力を入れ始め、ヨーロッパ各地の音楽祭や放送への出演、録音を続けている。2001年以来、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の第1コンサートマスターであるライナー・キュッヒル氏とデュオ・パートナーとして国内外で数多くの演奏を重ね、10年6月ウィーン・ムジークフェラインにおけるベートーヴェン全曲ツィクルスでは絶賛を博した。 ▲プロフィールを閉じる

ピアノ:加藤洋之 Hiroshi Kato

■曲目解説

シューマン:ピアノ三重奏曲 第2番 ヘ長調 op.80
 1847年には2曲のピアノ三重奏曲が書かれている。まず第1番が6~9月に書かれ、その後一月あまりで書き上げられたのが、この第2番である。この2曲は続けて書かれただけあって、対照的な性格を持っており、憂愁の暗さを秘める第1番に比して、第2番はより自由で明るい曲調となっている。
 初演は1850年2月22日ライプツィヒのゲヴァントハウスにて、クララ・シューマンのピアノ、フェルディナント・ダーヴィトのヴァイオリン、ユリウス・リーツのチェロという当時超一流のメンバーで行われた。第2楽章、第3楽章が聴きどころであり、シューマンらしいロマン的楽想の充満した曲になっている。いつまでも浸っていたい気分にさせられる音楽である。

メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲 第2番 ハ短調 op.66
 メンデルスゾーンはピアノ三重奏曲を2曲書いているが、死の2年前に書かれたこの第2番は作曲家でヴァイオリニストのルイ・シュポアに献呈された。1845年頃におそらくライプツィヒで書かれたとされている。ハ短調という調性に似つかわしく、情熱に満ちたドラマティックな音楽となっている。
 第1楽章冒頭からすでに情熱が渦巻くような印象だが、その暗い情熱からの解放を示唆するような発展を見せるのが特徴的である。緩徐楽章はピアノが主題を奏で、弦がそれに呼応するように美しい旋律を歌い上げる。見事な構成力を持って書かれたスケルツォ楽章を経て、終楽章アレグロ・アッパシオナートでは、展開部にコラール主題が用いられ、壮大なクライマックスへと至る。

ブラームス:ピアノ三重奏曲 第2番 ハ長調 op.87
 1880年に着手され、1882年に保養地バート・イシュルにて完成された。すでに40代も終わりにさしかかり、翌年にはあの交響曲第3番が生み出されることになる、円熟の境地に入ったブラームスの作品である。それぞれの楽器が密に絡み合い、ロマン的な情感を表情豊かに歌い上げる。
 ソナタ形式の第1楽章では、緩やかな味わいのある各主題が、緻密な構成に基づいて朗々と歌われる。第2楽章は、主題と5つの変奏からなっており、ハンガリー風の切ない旋律が心に染みる。第3楽章スケルツォは、16分音符の不気味な雰囲気に始まり、中間部は一転して明るくなり、魅力的な旋律が響く。第4楽章は、ソナタ形式のフィナーレとなっており、個性的な主題が不思議な高揚感をもたらして、全曲を締めくくる。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 後援:公益財団法人 台東区芸術文化財団

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