PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2013-

浄められた夜 ~若き名手たちによる室内楽の極(きわみ)

日本のクラシック音楽界をリードする、今が“旬”の男性奏者たちによる骨太の室内楽は、回を重ねる毎に盛り上がりをみせています。東京春祭ならではの顔ぶれに、ご期待ください。

プログラム詳細

2013:04:13:18:00:00

© 青柳 聡
■日時・会場
2013.4.13 [土] 18:00開演(17:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
ヴァイオリン:長原幸太、西江辰郎
ヴィオラ:鈴木康浩、大島 亮
チェロ:上森祥平、富岡廉太郎

■曲目
モーツァルト:ディヴェルティメント 変ホ長調 K.563 speaker.gif[試聴]
シェーンベルク:《浄められた夜》op.4 speaker.gif[試聴]

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

ヴァイオリン:長原幸太 Kota Nagahara 1981年、広島県呉市に生まれる。東京藝術大学附属音楽高等学校を卒業後、同大学に進学。その間、全額スカラシップを受け、ジュリアード音楽院に留学。92/93年と連続して全日本学生音楽コンクール全国第1位。94年ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクール17歳以下の部第3位。98年、日本音楽コンクール最年少優勝。五嶋みどりレクチャーコンサートで奨励賞を受賞し、▼続きを見る ニューヨークに招待され、同氏のレッスンを受ける。また、若い人のための「サイトウ・キネン室内楽勉強会」で小澤征爾指揮のもとコンサートマスターやソリストを務め、サイトウ・キネン・オーケストラにも最年少で参加。12歳で東京交響楽団と共演したのを皮切りに、日本各地の主要オーケストラや、小澤征爾、岩城宏之、秋山和慶、ゲルハルト・ボッセといった名指揮者と共演。ソリスト以外にも室内楽奏者、オーケストラのゲストコンサートマスターとしても活躍。さらに、別府アルゲリッチ音楽祭、宮崎国際音楽祭、木津川やまなみ国際音楽祭等、各地の音楽祭にも出演。演奏を通じてのボランティア活動にも力を入れている。広島市長賞「広島フェニックス賞」、広島県教育長賞「メイプル賞」受賞、広島国際文化財団「ヒロシマ・スカラシップ」、広島ホームテレビ文化・スポーツ賞(最年少受賞)、東京藝術大学・福島賞等、受賞多数。これまでに村上直子、小栗まち絵、工藤千博、澤 和樹、ロバート・マンの各氏に師事。2004年9月、大阪フィルハーモニー交響楽団首席客演コンサートマスターに就任、06年4月~12年3月まで首席コンサートマスターを務める。

©飯島 隆 ▲プロフィールを閉じる

ヴァイオリン:長原幸太 Kota Nagahara

ヴァイオリン:西江辰郎 Tatsuo Nishie 新日本フィルのコンサートマスター、ソリスト、室内楽奏者としても活躍する若手ヴァイオリニスト西江辰郎は、1976年、東京生まれ。桐朋女子高等学校音楽科(共学)を経て、桐朋学園ソリストデュプロマコース修了。国内コンクールに多数入賞し、2001年、弱冠24歳で仙台フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターに就任。多くのソロを受け持ち、《英雄の生涯》▼続きを見る 《シェヘラザード》等で絶賛された。東京フィロスクヮルテット、セレーノ弦楽四重奏団を結成し、SPC大賞、せんだい芸術祭大賞、緑の風音楽賞、松尾音楽助成等の受賞歴を持つ。ヴァイオリンを辰巳明子、ティボール・ヴァルガ、景山誠治、藤原浜雄、海野義雄の各氏に、室内楽を安永徹、市野あゆみ、ガボール・タカーチ=ナジ、岡山潔の各氏に師事。 レパートリーもコレルリ、バッハから三善晃、カプースチンまでと幅広い。イタリアの作曲家アレッサンドロ・クオッツォは友人で、ピアノのジュゼッペ・アンダローロとのイタリア・リサイタルツアーでは無伴奏ヴァイオリンソナタを献呈された。 日本、オーストリア、スイス、フランス、イタリア、チェコ、韓国等、世界各地で演奏。サイトウ・キネン・オーケストラのメンバー。ソリストとしても東京交響楽団、オーケストラ・T・ヴァルガ、仙台フィルハーモニー管弦楽団、仙台市民交響楽団、オーケストラ・アンサンブル金沢、チェコ室内フィルハーモニー管弦楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団等、国内外のオーケストラと共演。クリスティアン・アルミンクに認められ、2005年より新日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスターに就任。2007年には「M・マイスキー60歳記念プロジェクト」でミッシャ・マイスキー(チェロ)と共演。2009年にはアールガウ交響楽団のソリストに抜擢され、チューリッヒ・トーンハレで協奏曲デビューを果たし、紙上でも賞賛された。またCD『カプースチン』をリリース。2010年にはソリストとして新日本フィルハーモニー交響楽団と4回の共演を行ない、リサイタルではアンドレア・タランティーノのSulla Via del Graalをアジア初演。 精力的な演奏活動のかたわら、最近、サンサーンスのオペラ《サムソンとダリラ》より“Printemps qui commence”をヴァイオリンとピアノのための小品に編曲し、好評を得る。DVDは『DUO』西江辰郎&アンダローロ(FOVD 101)。CDは『シューマン&R.シュトラウス』西江&坂野(FOCD3511)、『カプースチン』西江辰郎&アンダローロ デュオリサイタル3(FOCD3510)、『フランク&プロコフィエフ』西江&アンダローロ デュオリサイタル2(FOCD9337)、『西江辰郎&アンダローロ デュオリサイタル』(FOCD9236)、『ARENSKY』(HCC-2027)。

公式サイト http://homepage3.nifty.com/nishie-tatsuo/

©Kazuhiko Suzuki ▲プロフィールを閉じる

ヴァイオリン:西江辰郎 Tatsuo Nishie

ヴィオラ:鈴木康浩 Yasuhiro Suzuki 新潟県生まれ。5歳よりヴァイオリンを始める。辰巳明子氏に師事。桐朋女子高等学校音楽科(共学)を経て、桐朋学園大学卒業。読売新聞社新人演奏会出演。第47回全日本学生音楽コンクール東京大会高校の部第1位。卒業後ヴィオラに転向、岡田伸夫氏に師事。第9回日本クラシック音楽コンクール全国大会ヴィオラ部門最高位。第2回淡路市立しづかホールヴィオラコンクール第2位。 ▼続きを見る 第12回宝塚ベガ音楽コンクール弦楽器部門第1位。2001年よりドイツのヘルベルト・フォン・カラヤン・アカデミーで研鑽を積み、その後ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の契約団員となる。2003年にはクラズィッシェ・フィルハーモニー・ボンのソリストとして、ドイツ各地で演奏し好評を博す。2004年秋に帰国し、日本で活動を始める。ソロ活動として、東京オペラシティでの「B→C(ビートゥーシー)」に出演、リサイタル、読売日本交響楽団とコンチェルトのソリストとして共演、ヴィオラスペースに出演。室内楽ではレガーメ弦楽四重奏団のメンバーとしてカルテットの活動、王子ホールでの「MAROワールド」やランチタイムに行われる名曲シリーズ、JTアートホールではJTアートホール室内楽シリーズに度々出演。その他にもサイトウ・キネン・フェスティバル松本、宮崎国際音楽祭等、多方面で活動中。フェリス女学院大学の非常勤講師として後進の指導にも当たる。現在、読売日本交響楽団ソロ首席ヴィオラ奏者。

©読売日本交響楽団 ▲プロフィールを閉じる

ヴィオラ:鈴木康浩 Yasuhiro Suzuki

ヴィオラ:大島 亮 Ryo Oshima 桐朋学園大学卒、同大学研究科修了。第11回コンセール・マロニエ21第1位、第7回東京音楽コンクール第1位、第42回マルクノイキルヒェン国際器楽コンクール・ディプロマ賞受賞。ヴィオラスペース、東京のオペラの森、水戸室内管弦楽団、宮崎や木曽の音楽祭、小澤征爾音楽塾等に出演。室内楽では今井信子、原田禎夫らと、ソリストとしては東京都交響楽団と共演。▼続きを見る 東京フィルハーモニー交響楽団、読売日本交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団等に首席奏者として客演している。

©大窪道治 ▲プロフィールを閉じる

ヴィオラ:大島 亮 Ryo Oshima

チェロ:上森祥平 Shohei Uwamori 東京藝術大学在学中に日本音楽コンクール第1位、及び「松下賞」受賞。「安宅賞」受賞。各地で開催されたデビューリサイタルでは、その高い表現力や表情豊かな包容力が誌上で高く評価された。1999年の宮崎国際室内楽音楽祭でアイザック・スターン、エマニュエル・アックス、ジュリアード・クァルテット等に師事。スターン自身の招きによって2000年に再び同音楽祭に出演。▼続きを見る この模様はNHK総合、BS他で繰り返し放送された。東京藝術大学でヨーヨー・マのマスタークラスを受講。2001年にベルリン芸術大学留学。2004年、J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲連続演奏会に出演し成功を収め、誌上では「無駄な音は一つもない。その響きは無類」と絶賛される。パブロ・カザルス国際チェロコンクール、エマニュエル・フォイアマン・グランプリ、セミファイナリスト。ベルリン・フィル定期演奏会にオーケストラの一員として出演の他、欧州各地で演奏活動の後、2005年ドイツ国家演奏家資格を取得し、ベルリン芸術大学を卒業。帰国後はソロ、室内楽、主要オーケストラの客演首席等で活躍する他、東京藝術大学において後進の育成に力を注ぐ。ドイツ三大Bチェロ作品全曲リサイタルシリーズでは、ベートーヴェン(2005年)、ブラームス(2006年)のソナタ、及びバッハ無伴奏チェロ組曲(2008年)を一夜で演奏し、成功を収めた。2008年「熱狂の日」音楽祭、東京のオペラの森、NHK-FM名曲リサイタル等に出演。また全国でバッハ無伴奏チェロ組曲全曲リサイタル(+6つの小品)を開催、大成功を収めた。この年よりバッハ無伴奏チェロ組曲全曲リサイタルをシリーズ化し、毎年開催する。小林研一郎、下野竜也らの指揮のもと、東京交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、京都市交響楽団、神戸市室内合奏団、藝大フィルハーモニア等と共演。アナ・チュマチェンコ、安永徹、玉井菜採、篠崎史紀、清水和音らと室内楽を共演。上村昇、河野文昭、藤森亮一、林裕らとチェロアンサンブルを結成。ヴォルフガング・ベッチャー、河野文昭、山崎伸子の各氏に師事。東京藝術大学非常勤講師。京都市芸術文化特別奨励者。

公式サイト http://www.uwamori.jp/ ▲プロフィールを閉じる

チェロ:上森祥平 Shohei Uwamori

チェロ:富岡廉太郎 Rentaro Tomioka 1986年、札幌市出身。9歳よりチェロを始め、上原与四郎氏に師事。桐朋女子高等学校音楽科を卒業し桐朋学園大学を経る。毛利伯郎氏に師事。札幌ジュニアチェロコンクール(現・泉の森ジュニアチェロコンクール)特別奨励賞受賞。2007年いしかわミュージックアカデミーIMA音楽賞受賞。05年、06年、若い人のための「サイトウ・キネン室内楽勉強会」、 ▼続きを見る 小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅦ「マーラー“復活”」、Ⅷ「ビゼー:カルメン」、06年サイトウ・キネン・フェスティバル松本「青少年のためのオペラ:セビリアの理髪師」等に参加し、ロバート・マン、渡辺實和子、原田禎夫、池松宏の各氏に指導を受ける。宮崎国際音楽祭、別府アルゲリッチ音楽祭、軽井沢八月祭、ラ・フォル・ジュルネ、鎌倉ゾリステン等に出演。国内オーケストラの客演首席奏者としても活躍している。またVerus String Quartet(ウェールズ弦楽四重奏団)として、軽井沢八月祭、宮崎国際音楽祭、プロジェクトQ他、国内の多数のコンサート、音楽祭に参加。08年、東京クヮルテットの招きにより米国イェール大学の夏季アカデミー NORFOLK CHAMBER MUSIC SESSIONに参加。同年9月ミュンヘンARD国際音楽コンクール・クァルテット部門で、日本人のみで結成されるクァルテットとしては、東京クヮルテット以来38年ぶりの3位入賞を果たす。09年、日本音楽財団の協力で王子ホールにてデビュー。原田幸一郎、徳永二男、毛利伯郎、山崎伸子、ライプツィヒ弦楽四重奏団、マティアス・タッケ(フェルメール弦楽四重奏団)、アンドラーシュ・ケラー(ケラー四重奏団)、東京クヮルテットの各氏に指導を受ける。10年春より拠点をスイス・バーゼルに移し、バーゼル音楽院にてライナー・シュミット氏(ハーゲン弦楽四重奏団・第2ヴァイオリン奏者)のもとで研鑽を積む。南仏BONNIEUX音楽祭、ドイツWESTWEG現代音楽シリーズ、ドイツBEUGGEN城でのコンサートへの出演等、ヨーロッパでも活動の場を広げる。同年、メナヘム・プレスラー氏と共演、京都・青山音楽賞受賞。11年バーゼルオーケストラ協会(BOG)コンクールにて“ex aequo”賞受賞、第7回大阪国際室内楽コンクール弦楽四重奏部門第3位。08年、10年、11年度、松尾学術振興財団より助成を受ける。バーゼル交響楽団とハルトマンの室内協奏曲を協演。12年シュヴェッツィンゲン音楽祭に出演。同年、バーゼル音楽院MASPを修了し、帰国。 ▲プロフィールを閉じる

チェロ:富岡廉太郎 Rentaro Tomioka

■曲目解説

●モーツァルト:ディヴェルティメント 変ホ長調 K.563

 元来、ディヴェルティメントというジャンルは「嬉遊曲」とも訳されるように、王侯貴族の社交場で奏される「気晴らし」の音楽であった。モーツァルトもそのようなディヴェルティメントを20曲以上書いている。このK.563は編成が三重奏(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)で、内声を担う楽器の負担が大きく、演奏の難度も高い。
 本曲は、モーツァルト晩年(といっても32歳だが)の1788年9月にウィーンで作曲された。分散下降和音のユニゾンで幕を開ける第1楽章アレグロは、ヴァイオリンとチェロで歌われる第2主題があまりに軽やかで美しく、一度聴いたら耳を離れない。この第1楽章と続く第2楽章アダージョはそれぞれ8、9分のボリュームがあり、内容の充実度からも明らかにディヴェルティメントの枠を超えている。第3楽章の素朴な明るさを持つメヌエット、第4楽章のディヴェルティメントらしい雰囲気を持つアンダンテ。第5楽章の思わず頬が緩んでしまいそうな愛らしいメヌエットを経て、終曲の第6楽章アレグロは、ヴァイオリンが高らかに歌うロンド主題が印象的で、最後は明るい響きを充足させて全曲を締めくくる。

●シェーンベルク:《浄められた夜》op.4
 30分近い演奏時間を有する単一楽章の弦楽六重奏曲。ブラームスやワーグナーの影響を受けたウィーン生まれの若きアルノルト・シェーンベルクが、リヒャルト・デーメルの同名詩をもとに1899年12月に書き上げた。多用される半音階の斬新さや、あからさまな性的題材などが、1902年の初演当初、物議を醸した。デーメルの詩の大意は次のようになっている。
 「月夜の林を散策する男女。女が他の男の子どもを宿したことを告白する。しばし緊張の時間が訪れる。やがて男はその子を自分たちの子として受け容れることを誓う。そして2人は抱擁し……」
 音楽は大きく5つの部分に分かれており、構成も詩の場面に即して進む。言うなれば、原詩の情景描写や人物の感情を音楽に写し取った標題音楽である。冬枯れの林のざわめきが奏され、2人の気持ちの高まりが美しい旋律となって燃え上がる、真にロマンチシズム溢れる作品となっている。




主催:東京・春・音楽祭実行委員会

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