東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2013-
バイロイト祝祭ヴァイオリン・クァルテット
~ワーグナーを熟知した4人の名手たち
バイロイト音楽祭で30年以上ヴァイオリンを弾き続けている日本人がいることをご存知ですか?ベルリンで活躍する眞峯紀一郎とバイロイト音楽祭のオーケストラ仲間たちにより結成された珍しい編成、ヴァイオリン4人組によるワーグナー・イヤーに相応しい贈り物がここに。
プログラム詳細
2013:04:05:19:00:00
2013.4.5 [金] 19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール
■出演
バイロイト祝祭ヴァイオリン・クァルテット
第1ヴァイオリン:ベルンハルト・ハルトーク
第2ヴァイオリン:ミヒャエル・フレンツェル
第3ヴァイオリン:ウルフ・クラウゼニッツァー
第4ヴァイオリン:眞峯紀一郎
■曲目
テレマン:4つのヴァイオリンのための協奏曲 ハ長調 TWV40:203
J.S.バッハ(木村三穂子編):イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971 (2012年)

キルヒナー:4つのヴァイオリンのためのエレジー《エッコ・ヴェネツィアーノ》 (ワーグナーに捧げる)(2009年委嘱作品)
ホフマン:4つのヴァイオリンのための四重奏曲 ハ長調 op.98
宮城道雄(木村三穂子編):春の海 (2012年)

クプコヴィッチ:4つのヴァイオリンのための《ローエングリュン変奏曲》(《ローエングリン》をもとに)(2008年委嘱作品)
番場俊之:4つのヴァイオリンのための《あの空》(世界初演・2013年委嘱作品)
ダンクラ:4つのヴァイオリンのためのファンタジー《ヴェネツィアの謝肉祭》op.119
~関連コラム~
【試聴について】

プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。
出演者
バイロイト祝祭ヴァイオリン・クァルテット Bayreuth Festival Violin quartett 2005年夏、バイロイト祝祭管弦楽団に長年参加している第1ヴァイオリン奏者4名(全員ドイツ国内で確固たるポジションを持つ)により結成された。その後〈ニュルンベルクを中心に、北部バイエルン州を総括する経済産業文化圏〉の文化使節の称号を得て、毎夏音楽祭開催中バイロイトやその近郊を中心に、またドイツ各地で演奏活動を続ける一方、09年にはブリュッセル、
第1ヴァイオリン:ベルンハルト・ハルトーク Berunhard Hartog ビーレフェルトで生まれる。ハノーファー音楽大学でヴェルナー・ホイトリンクとアンドレ・ゲルトラーのもとで学ぶ。同大学卒業後、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団に第1ヴァイオリン奏者として入団。その後ハノーファーのオペラ・オーケストラの第1コンサートマスターを経て、1980年、豊田耕児の後任としてベルリン・ドイツ交響楽団の第1コンサートマスターとなり、
第2ヴァイオリン:ミヒャエル・フレンツェル Michael Frenzel ゲルリッツで生まれる。5歳の時から母親のもとでヴァイオリンとピアノのレッスンを受ける。その後、ドレスデンの音楽大学でラインハルト・ウルブリッヒのもとで学び、在学中、国内(旧東ドイツ)やポーランドの多数のコンクールで受賞。1973年、卒業と同時にドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団に入団。75年シュターツカペレ・ドレスデンに第1ヴァイオリン奏者として移籍、
第3ヴァイオリン:ウルフ・クラウゼニッツァー Ulf Klausenitzer バード・ナウハイムで生まれる。フランクフルト、ケルン、バーゼルの音楽大学に在籍。その間、ヘンリク・シェリング、レオニード・コーガンのマイスターコースに参加。さらにロンドンに留学、アマデウス・クァルテットのノーバート・ブレイニンのもとで室内楽を学ぶ。その後マンハイム、ザールブリュッケン、そしてニュルンベルクのオーケストラのコンサートマスターを歴任後、
第4ヴァイオリン:眞峯紀一郎 Kiichiro Mamine 東京で生まれる。5歳の時から松本で鈴木鎮一に師事。松本深志高校卒業。1964年、国立音楽大学卒業と同時に、新創立の読売日本交響楽団に入団する。69年、旧西ベルリンに留学、豊田耕児のもとで学ぶ傍ら、ベルリン音楽大学で室内楽を学ぶ。70年ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団に入団し、2006年、定年退団。その間、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のエキストラとして、
テレマン:4つのヴァイオリンのための協奏曲 ハ長調 TWV40:203<
ヘンデルやJ.S.バッハと同時代のドイツの作曲家ゲオルク・フィリップ・テレマンは、通奏低音なしの「4つのヴァイオリンのための協奏曲」という、まったく新しいジャンルをおそらく初めて開拓した作曲家だろう。同編成の作品では、ト長調、ニ長調、ハ長調の3つが残されている。4楽章構成のハ長調は、テレマンらしい生き生きとした表情に加え、思わぬ新鮮な響きを備えていることにも気づかされるに違いない。
J.S.バッハ(木村三穂子編):イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971
1734年、ライプツィヒ時代に書かれ、バッハのチェンバロ楽曲のなかでも特に親しまれている作品である。原曲は協奏曲となっているが、急/緩/急の3楽章構成によるチェンバロ用の独奏曲である。ヴィヴァルディを中心とするイタリア・バロック音楽の協奏曲様式を2段鍵盤のチェンバロによって置き換えようとする試みであり、一聴してとにかく明るく華やかな印象がある。
キルヒナー:4つのヴァイオリンのためのエレジー《エッコ・ヴェネツィアーノ》
マインツの由緒正しき音楽一家に生まれたフォルカー・ダーヴィッド・キルヒナーは、ヴィオラ奏者としてのキャリアを持つ、ドイツ現代音楽の作曲家である。この作品は、2009年にバイロイト祝祭ヴァイオリン・クァルテットのために作曲された委嘱作品で、69歳でヴェネツィアにて死去したワーグナーを悼む哀歌となっており、ワーグナーの楽劇《トリスタンとイゾルデ》に因んだ曲想を展開している。
ホフマン:4つのヴァイオリンのための四重奏曲 op.98
ドイツの作曲家リヒャルト・ホフマンは、音楽教師としてライプツィヒで活動し、ライプツィヒ音楽院の教授も務めた経歴の持ち主で、数多くの教育的な作品を書いている。今回演奏されるこの四重奏曲は、1896年にライプツィヒで出版されたものである。4楽章構成(アレグロ/アンダンテ/スケルツォ/アレグロ・マ・ノン・トロッポ)となっており、曲頭の第1ヴァイオリンの音階的な上下降が、教育家としてのホフマンを彷彿とさせて印象的である。
宮城道雄(木村三穂子編):春の海
近代筝曲の父とも呼ばれる宮城道雄が1929(昭和4)年に書いた作品。宮城の代表作であるとともに、日本の近代楽曲を代表する一曲でもある。8歳で失明する以前に住んでいた瀬戸内の印象を表現したもので、波の音、空を舞うカモメ、漂う小舟など全てが春の海の構成音として穏やかに流れていく。しかし、この曲が有名になったのは、フランスのヴァイオリニスト、ルネ・シュメの再発見によることは、あまり知られていない。
クプコヴィッチ:4つのヴァイオリンのための《ローエングリュン変奏曲》
スロヴァキア生まれの作曲家ラディスラフ・クプコヴィッチは、前衛音楽からそのキャリアをスタートさせたが、70年代には調性音楽に回帰した。クプコヴィッチは、ハノーファーの音楽大学の教授として奉職しながら作曲を続け、ギドン・クレーメルらにも楽曲提供を行っている。この作品は、2008年にバイロイト祝祭ヴァイオリン・クァルテットのために作曲された委嘱作品で、ワーグナーの歌劇《ローエングリン》の主題を用いた変奏曲となっている。
ダンクラ:4つのヴァイオリンのためのファンタジー《ヴェネツィアの謝肉祭》
19世紀フランスの作曲家シャルル・ダンクラは、パリ・オペラ座管弦楽団のコンサートマスターも務めたほどの名ヴァイオリニストだった。作曲家としては、パガニーニやヴュータンから多大な影響を受け、またヴァイオリンの教則本や練習曲でも知られている。今回演奏される曲は、誰でも一度は耳にしたことのある民謡《ヴェネツィアの謝肉祭》の旋律を主題にした華麗な変奏曲で、イントロダクション、主題と8つの変奏、フィナーレからなっている。
主催:東京・春・音楽祭実行委員会 後援:ドイツ連邦共和国大使館/社団法人 才能教育研究会