PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2013-

アルゼンチン・タンゴの夕べ~哀愁漂うタンゴの名曲を集めて

毎年様々な趣向を凝らし人気の高いアルゼンチン・タンゴのシリーズ。
今回はボーカリストを迎え、ますます期待が高まります。

プログラム詳細

2013:03:21:19:00:00

© 青柳 聡
■日時・会場
2013.3.21 [木] 19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
オルケスタ・アウロラ
  ヴァイオリン:会田桃子
  ピアノ:青木菜穂子
  ヴァイオリン:吉田 篤
  バンドネオン:北村 聡、鈴木嵩朗
  コントラバス:東谷健司
ボーカル:小島りち子

■曲目
会田桃子:私の希望のすべて
モレース:グリセール
ダメス:ナーダ speaker.gif[試聴]
ピアソラ:デカリシモ speaker.gif[試聴]
ピアソラ:忘却 speaker.gif[試聴]
ガルデル:想いの届く日 speaker.gif[試聴]
カステジャーノス:ラ・プニャラーダ speaker.gif[試聴]
ピアソラ:マロン・イ・アスル
スタンポーニ:亜麻の花
ピアソラ:私はマリア speaker.gif[試聴]
会田桃子:ラ・サリーダ
ピアソラ:天使のタンゴ speaker.gif[試聴]
タランティーノ:悲しい街
コビアン:ロス・マレアードス speaker.gif[試聴]
スタンポーニ:最後のコーヒー speaker.gif[試聴]
オルティス:君偲ぶ夜 speaker.gif[試聴]
デ・カロ=ラウレンス:マラ・フンタ speaker.gif[試聴]
ピアソラ:セーヌ河 speaker.gif[試聴]
ガルデル:首の差で
ピアソラ:チキリン・デ・バチン speaker.gif[試聴]
ピアソラ:ブエノスアイレスの夏 speaker.gif[試聴]
※当初発表の曲目より変更になりました
[アンコール]
ピアソラ:リベルタンゴ
ロドリゲス:ラ・クンパルシータ

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

オルケスタ・アウロラ Orquesta AurorA バイオリンの会田桃子とピアノの青木菜穂子をリーダーとし、現在のタンゴシーンを牽引する若手ミュージシャンで構成されるタンゴ六重奏団。それぞれがタンゴのみならず様々な分野で活躍する、まさに実力派のグループである。一人一人の精巧な演奏力に加え、リーダー二人が作編曲しているオリジナルの楽曲は本場ブエノスアイレスでも高く評価されている。 ▼続きを見る ポルテーニョ(ブエノスアイレスっ子)をも唸らせるサウンドは、タンゴという枠組みを超えて、現代の全音楽界に衝撃を与え続けている。2009年アウロラは『プエルト・ア・プエルト』で鮮烈なデビューを飾る。その翌年8月にはアルゼンチン・ブエノスアイレス市政府からの直々の招待で、ブエノスアイレスと隣国ウルグアイのモンテビデオで公演を敢行。耳の肥えた本場の観客をも唸らせ、マエストロたちから拍手喝采を浴び大成功を収める。同時に現地でレコーディングを行い、10月には九段会館においてセカンドアルバム『ブエノスアイレスのアウロラ』のレコ発ライブを開催。レコーディングにも参加したフリア・センコを特別ゲストに迎えたそのコンサートは観客総立ちの「伝説のコンサート」とも評され、日本のタンゴ界に旋風を巻き起こした。また12年秋にはサードアルバムを録音予定。会田桃子(vn)は、2000年よりタンゴバンド「クアトロシエントス」を立ち上げ、ライブ活動、アルバム制作等を精力的に行う。日本人の生み出すピアソラ以降の現代タンゴの形を模索するべく、アルゼンチンタンゴの作編曲に強く力を注いでいる。青木菜穂子(pf)は、02年単身アルゼンチンに渡り、ニコラス・レデスマに師事。現在までにソロ名義のアルバムをアルゼンチン及び日本で2作品発表、これまでに加藤登紀子、あがた森魚、杉本 彩と共演する等、多方面からの評価も高い。北村 聡は、現在最も注目される若手バンドネオン奏者の一人。小松亮太に師事し、これまでにビクトル・ラバジェン、カルロス・アギーレ、鈴木大介、菊地成孔等と共演、録音にも参加している。鈴木崇朗は、バンドネオンを小松亮太、フリオ・パネ、ネストル・マルコーニに師事。現在は「小松亮太&オルケスタ・ティピカ」「小松真知子とタンゴクリスタル」等で活動中の有望の若手バンドネオン奏者。吉田 篤(vn)は、東京藝術大学音楽学部在学中より「小松亮太&ザ・タンギスツ」等のバンドに参加。現在は「小松真知子とタンゴクリスタル」「Tango-jack」等のバンドで活躍しつつ、母校の管弦楽研究部非常勤講師として教鞭をとる。東谷健司(cb)は、早稲田大学在学中からオルケスタ・デ・タンゴ・ワセダでバンドマスターを務める等、タンゴに親しむ。1996~2002年頃まで、「小松亮太&ザ・タンギスツ」のメンバーとして、また08年にはブエノスアイレスのラ・カサ・デル・タンゴ等、多くのコンサート、ライブ、CD録音に参加。

公式サイト http://www.latina.co.jp/aurora/ ▲プロフィールを閉じる

バイオリン:会田桃子 Momoko Aida 横浜市生まれ。3歳よりバイオリンを始める。桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部卒業。在学中よりアストル・ピアソラやアルゼンチンタンゴに興味を持ち、バンドネオン奏者小松亮太のタンゴバンド「小松亮太&ザ・タンギスツ」でタンゴの演奏を始める。卒業後は小松氏のバンドで数年間ソロバイオリン奏者を務め、国内外のコンサートで活躍。▼続きを見る その後、度々本場ブエノスアイレスを訪れ、現地のミュージシャンたちとのライブや、ブエノスアイレス市立タンゴオーケストラ学校への短期入学等で研鑽を積んだ。2000年より自身のタンゴバンド「クアトロシエントスCuatrocientos」を立ち上げ、ライブ及びコンサート活動、タンゴ・ダンスショー、アルバム制作等を精力的に行う中、日本人の生み出す、ピアソラ以降の現代タンゴの形を模索するべく、アルゼンチンタンゴの作編曲に、非常に強く力を注いでいる。また、タンゴ以外の様々な音楽シーンでも活躍。クラシック、ジャズ、フラメンコ、ポップス、ブラジル、キューバン等、その活動は多岐に渡る。07年には自身のワールド&ポップスバンド「ピンクショコラ」も立ち上げ、オリジナル作品を中心に、タンゴと対照的な音楽造りも探求している。ポップスシーンでは、数多くのシンガーのバックオーケストラのコンサートマスターを務め、これまでに、ピーボ・ブライソン、倖田來未、平原綾香、大黒摩季、小柳ゆき、杏里、中西圭三、別所哲也、HIRO等と共演している。「クアトロシエントス」では、04年にバイオリンのラミーロ・ガジョをゲストに招き、05年には韓国の人気番組EBS「スペース共感」に、チェリスト、ソン・ヨンフンと出演、06~08年には数回に渡り、韓国、香港での公演や、豪華客船内でのショーを行っている。フアン・カルロス・コペス、ミゲル・アンヘル・ソト等のタンゴダンサーとの共演も数多く行っている。 ▲プロフィールを閉じる

バイオリン:会田桃子 Momoko Aida

ピアノ:青木菜穂子 Naoko Aoki 東京都出身。武蔵野音楽大学ピアノ科卒業。在学中よりタンゴに興味を持ち、演奏を始める。2002年、単身アルゼンチンに渡り、ニコラス・レデスマ、エミリオ・デ・ラ・ペーニャに師事する。03年よりエミリオ・バルカルセ指揮によるブエノスアイレス市立楽団オルケスタ・エスクエラ・デ・タンゴのピアニストとして2年間TV「Solo Tango」、RADIO「2×4」等で演奏、▼続きを見る ホセ・リベルテーラやネストル・マルコーニを始め、多くの巨匠と共演する。同時にバンドネオン、チェロ、ピアノによる自身のトリオも結成、活動の場を広げた。04年、第6回ブエノスアイレス国際タンゴフェスティバルでソロピアノ、歌手Sayacaとのデュオ、オーケストラと3部門で出場。ブエノスアイレスの雑誌「TXT」、「朝日新聞」等に掲載された。05年1st CD『Tierra Querida』(アルゼンチン録音/Bishop Records)を発表し、帰国後、自身のグループを率いて活動。06年、再び渡亜、オラシオ・ロモ(Bn)、パブロ・アグリ(Vn)、ダニエル・ファラスカ(Cb)とCD録音の他、現地ミュージシャンやダンサーとショウ(tangueria MADERO TANGO、salon DANDI)やダンスホール等で演奏。11月には2nd CD『Buenos Aires, Mi Refugio』(アルゼンチン・東京録音/Bishop Records)を発表。07年1月に第7回Cumbre Mundial(チリ/タンゴフェスティバル)で演奏した他、07年3月にはそのまま第9回ブエノスアイレス国際タンゴフェスティバルに出場。08年2/3月、渡亜。「2×4 tokyo」のピアニストとしてブエノスアイレス市内にてゲストにラミーロ・ガジョ(Vn)、フェデリコ・ペレイロ(Bn)等を招いての公演を行う。シンガーソングライター、アリエル・アッセルボーンとのデュオ活動開始。また国内でも杉本 彩主演によるショウ「タンゴノスタルジア」へ参加等、活動の幅を広げる。09年2月ハーモニカのジョー・パワーズ・バンドでアメリカツアーを敢行。09年3月に行われた第8回Cumbre Mundial(バリローチェ/タンゴフェスティバル)には「2×4 tokyo」で出場し、脚光を浴びた。▲プロフィールを閉じる

ピアノ:青木菜穂子 Naoko Aoki

バイオリン:吉田 篤 Atsushi Yoshida 山口県出身。山口県学生音楽コンクール金賞及びコンクール大賞受賞。全日本学生音楽コンクール福岡大会第1位。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学大学院室内楽科ヴィオラ専攻修了。現在、同大学管弦楽研究部非常勤講師。ヴィオラを務める弦楽四重奏団「クァルテット・アーニマ」で松尾学術振興財団より音楽助成を、またリゾナーレ室内楽セミナーにて緑の風奨励賞を受ける。 ▼続きを見る タンゴは大学在学中より始め、「小松亮太&ザ・タンギスツ」等のバンドに参加。現在「小松真知子とタンゴクリスタル」「Tango-jack」「ロス・タンゲーロス」等のバンドで活躍。▲プロフィールを閉じる

バイオリン:吉田 篤 Atsushi Yoshida

バンドネオン:北村 聡 Satoshi Kitamura 関西大学文学部中退。大学在学中にバンドネオンに出会い、小松亮太に師事。その後、アルゼンチンに短期留学し、フリオ・パネ、オラシオ・ロモのレッスンを受ける。またオルケスタ・エスクエラ・デ・タンゴに参加して学び、大型タンゲリア「エスキナ・デ・カルロス・ガルデル」等に出演した。2001年ベトナムでピアソラの《バンドネオン協奏曲》を演奏、03年バンドネオンの最高峰、 ▼続きを見る レオポルド・フェデリコの日本ツアーに参加した。07年にはチリのバルパライソで行われた世界タンゴサミットに、またミゲル・バルベーロ・セステートのメンバーとしてモントリオール・タンゴフェスティバルに出演。08年、小松亮太の「若き民衆」公演ではピアソラの《プンタ・デル・エステ組曲》のソリストを務めた。これまでに、鈴木理恵子、須川展也、店村眞積、平部やよい、菊地成孔、川井郁子、夏木マリ、あがた森魚、畠山美由紀、エゴラッピン、ビクトル・ラバジェン・オルケスタ、仙台フィルハーモニー管弦楽団、いずみシンフォニエッタ大阪等と共演、様々なアーティストのレコーディングに参加している。現在クアトロシエントス、小松亮太ユニット、中島ノブユキ・エテパルマ・アンサンブル等で活動中。▲プロフィールを閉じる

バンドネオン:北村 聡 Satoshi Kitamura

バンドネオン:鈴木崇朗 Takatoki Suzuki 2001年よりバンドネオンを小松亮太に師事。05年には「小松亮太&オルケスタ・ティピカ」のメンバーとして南米ツアーに参加し、ペルー、パラグアイ、アルゼンチン、ブラジルで公演、好評を博す。同年、単身アルゼンチンに留学し、バンドネオンをオスバルド・モンテスあに師事。また同年、「小松真知子とタンゴクリスタル」のメンバーとして▼続きを見る アルゼンチン・サンルイス州で行われた国際タンゴフェスティバルに参加した。07/08年にはアルゼンチンに留学し、バンドネオンをフリオ・パネ、ネストル・マルコーニに師事。09年には「2×4 Tokio」のメンバーとしてアルゼンチン・バリローチェで行われた世界タンゴサミットに参加。またBar Surや、国立図書館ホールでのリサイタルにも参加。現在「小松亮太&オルケスタ・ティピカ」「小松真知子とタンゴクリスタル」等で活動中。▲プロフィールを閉じる

バンドネオン:鈴木崇朗 Takatoki Suzuki

コントラバス:東谷健司 Kenji Azumaya 1969年生。三重県鈴鹿市出身。早稲田大学第一文学部卒。オルケスタ・デ・タンゴ・ワセダ91年度バンドマスター。在学中より、赤坂にあったタンゴラウンジ「ノスタルヒアス」にて、演奏活動を開始。卒業後も「ノスタルヒアス」の専属コントラバス奏者として、アルゼンチンより来日したトップアーティストたちと3年間に渡り研鑽を積む。「ノスタルヒアス」で共演したマエストロは、 ▼続きを見る ホルヘ・ドラゴーネ(pf)、オマール・バレンテ(pf)、サントス・マジ(bn)、カルロス・ニエシ(bn)、ロベルト・シカレ(pf)、ポーチョ・パルメル(bn)、ビクトル・ビジャダンゴス(gt)他。96~2002年頃まで、「小松亮太&ザ・タンギスツ」のメンバーとして多くのコンサート、ライブ、CD録音等に参加。2000年にはビクトル・ラバジェン(bn)とも共演。1996年ピアニスト熊田 洋と、デュオ「エル・タンゴ・ビーボ」を結成。ライブ、コンサート等で活動中。また、数々のタンゴ楽団のサポートメンバーとしても活動中。2008年3月「2×4 Tokio(ドス・ポル・クアトロ・トキオ)」のメンバーとしてアルゼンチン・ブエノスアイレスの「ラ・カサ・デル・タンゴ(タンゴの家)」「フェルナンデス・ブランコ博物館」でのコンサートに参加。09年3月、同じく「2×4 Tokio」のメンバーとして、アルゼンチン・バリローチェにおける世界タンゴサミットでの演奏、ブエノスアイレスの国立図書館ホールでのコンサートに参加。▲プロフィールを閉じる

コントラバス:東谷健司 Kenji Azumaya

ボーカル:小島りち子 Richiko Ojima 国立音楽大学を経て、同大学院リート科(フランス歌曲専攻)修了。竹村令、島田和子両氏に師事。第3回日仏声楽コンクール入賞。オペラでは、ビゼー《カルメン》カルメン、モーツァルト《フィガロの結婚》ケルビーノ、《コジ・ファン・トゥッテ》ドラベッラ、《魔笛》ダーメⅡ、メノッティ《霊媒》ババ等。ミュージカルでは、《サウンド・オブ・ミュージック》エルザ・院長先生、 ▼続きを見る 《オリバー》ナンシー、《アニー》ハニガン等に出演。フランス歌曲コンサートも毎年行っている。現在、オペラ《カルメン》のカルメン役で全国巡演中。 クラシックからポピュラーまで幅広いレパートリーをこなし、その美しく声量のある声と抜群の歌唱力で絶賛されている。近年、タンゴに魅せられ、ピアソラ・ナンバーを中心とするタンゴの世界に足を踏み入れた。2003/04年、日本橋公会堂において「小島りち子 ピアソラを歌う」と題してコンサートを開催する。京谷弘司とクァルテート・タンゴ、森川ともゆきとタンゴ・アンサンブル、小松真知子とタンゴクリスタル等と共演。 ▲プロフィールを閉じる

ボーカル:小島りち子 Richiko Ojima

■曲目解説

飯塚久夫(日本タンゴ・アカデミー副会長)

会田桃子:私の希望のすべて
タンゴは、愛と哀の表現に満ちているが、実は生きる勇気と希望を与えてくれる音楽である。会田桃子の「たった一人の人でも幸せな気持ちにすることができたら」という想いが良く出ている。

モーレス:グリセール
J.M.コントゥルシという作詞者の、実在の恋人を慕う曲である。想いがやっと叶ったのは2人が老年近くになってからのことであった。作曲者の作品にはメロディックな曲が多く、『さらば草原よ』が有名。

ダメス:ナーダ
バイオリンの美しいメロディで始まるこの曲は、アルゼンチンを越えて他のラテン・アメリカ諸国でもヒットした。1944年の作品で、題は「無」ということだが、辿り着いた家に彼女はもういないという内容。

ピアソラ:デカリシモ
1961年、ピアソラが最初の五重奏団で録音したLPのなかで発表された。題は、敬愛するフリオ・デ・カロをイメージし、「とてもデ・カロ的」という造語。AurorAの新録音でも採り上げられている。

ピアソラ:忘却
ピアソラは映画音楽も多く作っているが、これは1984年、マルチェロ・マストロヤンニ、クラウディア・カルディナーレ主演の『エンリコ4世』の挿入曲。日本未公開が悔やまれる。

ガルデル:想いの届く日
不朽のタンゴ歌手カルロス・ガルデルが、ラテン・アメリカのガルデルから世界のガルデルを目指して渡米したのは1933年暮れ。35年1月に米国でこの映画を撮影し、6月、飛行機事故で帰らぬ人となった。

カステジャーノス:ラ・プニャラーダ
最も有名なミロンガの一つ。ミロンガというリズムは4分の2拍子でタンゴの原点でもある。この曲は1936年に、有名なフアン・ダリエンソ楽団が初演して、今日まで続く大ヒットとなった。

ピアソラ:マロン・イ・アスル
1955年、フランス滞在中のピアソラは、弦楽オーケストラを組織し、パリでの記念すべき初録音を行った。その時の4曲中の一つがこの曲。AurorAが今回の新録音で採り上げた。

スタンポーニ:亜麻の花
窓の外で咲いている亜麻の花のように美しかった人は、今はもう去っていない。その孤独の気持ちを描いたワルツ。アルゼンチンでは、このようにワルツ(バルス・クリオージョ)も美しく哀しい。

ピアソラ:私はマリア
ピアソラがスランプに陥っていた1967年の暮れ、詩人のオラシオ・フェレールが『ブエノスアイレスのマリア』という小オペラの草稿を持参した。そこからピアソラの新たな開眼が始まったのである。

会田桃子:ラ・サリーダ
昨年秋、AurorAの3枚目のCDがアルゼンチンで録音された。これは、そのための作者の新曲。軽妙なリズムで聴かせる。タイトルの意味は「出発」ということであるが、タンゴ・ダンスの基本ステップでもある。

ピアソラ:天使のタンゴ
1957年、フランスから帰国したピアソラが、弦楽オーケストラで録音したLPのなかの一曲。この5年後から『天使のミロンガ』を始め一連の“天使”シリーズが作られるが、これはその先駆けとなった。

タランティーノ:悲しい街
作者は、1954年、初来日した本場楽団(フアン・カナロ)のピアニストで、当時、弱冠27歳だった。今回は青木菜穂子のアレンジで、各楽器のソロをふんだんに楽しむことができる。

コビアン:ロス・マレアードス
『郷愁』『わが両親の家』『私の隠れ家』などの名作で知られるコビアンの1942年の傑作。今日でも多くの楽団が演奏する。中盤でピアノのソロ、終盤でバンドネオン変奏などが活躍する。

スタンポーニ:最後のコーヒー
1963年、タンゴ歌謡コンクールで優勝して、大ヒットとなった曲。「君の寒そうな唇が吐息のような声で注文した最後のコーヒー。私は今ここにいない君の声が別れを告げるのを聞いている」と歌う。

オルティス:君偲ぶ夜
作詞は、アルゼンチンの女性歌手マリア・テレサ・マルケス。グァラニー調のフォルクローレ。恋の幸せを想い出し、孤独の夜を過ごしながら「あなたの心と私の心が一緒に作ったあの夢は……」と歌う。

デ・カロ — ラウレンス:マラ・フンタ
1927年に作者たちの楽団が初演したこの曲は、楽理面でタンゴに変革をもたらした。例えば、ポリフォニーが本格的に採り入れられている。3年前に、本音楽祭のために会田桃子が新編曲を施した。

ピアソラ:セーヌ河
ピアソラにとって、パリは特別な場所であった。クラシックを志した若き日にタンゴ回帰を悟らせてくれたのも、最後に倒れたのもパリであった。セーヌ河もピアソラのロマンをかき立てたことであろう。

ガルデル:首の差で
1935年、ガルデル最後の映画『タンゴ・バー』の挿入歌。米国パラマウントの映画であった。この曲は、近年も多くの映画やテレビで使われ、今では世界的に最も有名なタンゴ曲の一つとなっている。

ピアソラ:チキリン・デ・バチン
“バチン”というレストランに出入りする、知恵遅れの花売り少年“チキリン”の物語。実在の話だけに人生のやるせなさが胸を打つ。新タンゴを創出したピアソラ=フェレールの名作。

ピアソラ:ブエノスアイレスの夏
『ブエノスアイレスの四季』シリーズのなかでいちばん早くに作曲された。1965年、『黄金の垂れ髪』という舞台劇のために作った当初は、ピアソラに連作の意図はなかった。今や『四季』のなかでも最も有名。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 後援:日本タンゴ・アカデミー 協力:株式会社ラティーナ

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