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東京・春・音楽祭 2016

アーティスト

ロベルト・ガッビアーニ (指揮) イタリア、トスカーナ州プラートに生まれ、人文学を学んだ後、ピアノと作曲でフィレンツェのルイジ・ケルビーニ音楽院を卒業する。若くしてフィレンツェ市立劇場から声がかかり、当時すでに指導を受けていたリッカルド・ムーティにより、1974年にフィレンツェ五月音楽祭の合唱指揮者の指名を受けた。リッカルド・ムーティ指導のもとに上演されたオーケストラやオペラの作品は言うまでもなく、フィレンツェ在任中、ともに仕事をした著名な▼続きを見る世界的指揮者には、クラウディオ・アバド、チョン・ミョンフン、サー・コリン・デイヴィス、ヴァレリー・ゲルギエフ、カルロ・マリア・ジュリーニ、カルロス・クライバー、ロリン・マゼール、クルト・マズア、ズービン・メータ、小澤征爾、ジョルジュ・プレートル、トーマス・シッパーズ、ゲオルク・ショルティ、ユーリ・テミルカーノフ、クリスティアン・ティーレマン等がいる。フィレンツェ五月音楽祭で過ごした20年間は、L.アルベルティ、F.ダミーコ、B.バルトレッティ、L.ベリオ、M.ボジアンキーノ、R.ヴラド等、劇場を成功に導いてきた芸術監督とともに、独自のプログラムでシーズンと音楽祭の達成に寄与してきた。フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団・合唱団のいくつかのコンサートや、アルド・クレメンティ、ルチアーノ・ベリオ、ルイジ・ノーノ、ゴッフレド・ペトラッシ等の作品の世界初演も指揮している。90年には、ミラノ・スカラ座の音楽監督だったリッカルド・ムーティに、同歌劇場の合唱指揮を任される。スカラ座在任中は、世界的な指揮者たちとの通常公演に加えて、合唱付きオーケストラのコンサートでは、スカラ座管弦楽団・フィルハーモニー合唱団、ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ管弦楽団を指揮している。現代作品への強い思い入れから、合唱に捧げられた作曲への年会費を芸術監督に提案した。そしてアツィオ・コルギ《ラザロの死》、ファビオ・ヴァッキ《サチェル・サンクトゥス》、アドリアーノ・グァルニエリ《マタイ受難曲》等の合唱付きオーケストラ作品の世界初演を指揮したのである。また、往古の音楽へも情熱を傾けて、パオロ・アレティーノ《受難曲》のようなオペラを再発見し、ミラノのサン・マルコ寺院を舞台に上演したり、ジョヴァンニ・カヴァッチオ、マウリツィオ・カッツァーティ等ほとんど知られていない音楽も発掘して身近なものとした。そして合唱レパートリーをルネサンス、バロック、現代音楽にまで広げ、新旧の良い部分を混交させる折衷主義という独特な印象を合唱団にもたらした。ミラノ・スカラ座の合唱指揮者として、リッカルド・ムーティ指導のもとラヴェンナ音楽祭ために、サラエヴォ、ベイルート、モスクワ、エルサレム、エレバン、イスタンブールをコンサート・ツアーで回った他、同歌劇場の海外ツアーにはすべて参加し、ミラノ・スカラ座フィルハーモニー合唱団の指導者として、国際的に重要なセレモニー(開会式、記念行事等)のコンサートを指揮している。2000年から、ムーティの指揮するコンサートでフランス放送合唱団とも仕事をする。ノートルダム・デュ・トラヴァイユ教会でラジオ・フランスの秋シーズン室内楽のために教会合唱における様々な指導を行なったり、ヴァッキ《サチェル・サンクトゥス》を「プレゼンス」フェスティバルで上演したりした。1990年代の後半には、ローマのサンタ・チェチーリア国立アカデミーに呼ばれ、チョン・ミョンフン指揮でフォーレとデュリュフレの《レクイエム》、そして西暦2000年記念CDの《テ・デウム》集のレコーディング等、いくつかのコラボレーションを行なった。02年からは、当時サンタ・チェチーリア国立アカデミーのプレジデントだったルチアーノ・ベリオに合唱指揮者として招聘された。その任は06年まで続き、古今のポリフォニー音楽の評価を高めた。なかでもジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナの「ミサ曲集・第1巻」へと切り込んだのは忘れ難い。近年は、東京・春・音楽祭に招かれ、リッカルド・ムーティ指揮のヴェルディ《レクイエム》(06年)、ヴェルディ《聖歌四篇》より「スターバト・マーテル」「テ・デウム」とロッシーニ《スターバト・マーテル》(07年)、オルフ《カルミナ・ブラーナ》(10年)に参加、他にハイドン《天地創造》(09年)、ワーグナー《パルジファル》(10年)にも参加している。東京都の招待を受け、2010~12年の「Music Weeks in Tokyo」では、音楽祭の主役であるスーパー・コーラス・トーキョーという合唱団を創り上げた。08年からトリノ・レージョ劇場の音楽監督ジャナンドレア・ノセダに呼ばれて同劇場の合唱指揮者を務め、ラフマニノフ《アレコ》(09年)、ヴェルディ《聖歌四篇》(10年)のレコーディングにおいて、ノセダとともに進化を遂げてきた彼の芸術的な発展も最高潮に達した。10年7月/8月、好評を博したトリノ・レージョ劇場の日本・中国ツアーの後、2010/11シーズンにはリッカルド・ムーティによりローマ歌劇場の合唱指揮者に指名された。10年11月から、ガッビアーニの指導のおかげで、歌劇場の合唱団は新たに室内楽の演奏に乗り出すこととなる。フィリップ・ゴセットの論評においては、ロッシーニ《小ミサ・ソレムニス》の国内初演が特筆すべきことに挙げられている。またローマの牧師館の協力により、ローマの教会でメンデルスゾーンやシューマン、ブラームスの音楽を披露することが許可された。ローマ教皇フランシスコによって開催された「いつくしみの特別聖年」の際には、聖アウグスティン教会でローマ歌劇場合唱団とシスティーナ礼拝堂合唱団による室内楽コンサートにより、ルネサンスから現代に至るまで、人間の霊性を考えさせる音楽を披露した。11年8月からローマ歌劇場の終身名誉監督となったリッカルド・ムーティの指揮により、イタリア統一150周年の記念行事においてモンテチトーリオ宮殿で開かれたコンサートでは、同歌劇場合唱団が注目を浴びた。ガッビアーニの合唱指揮のもとでは、すべてのオペラ上演や合唱付きコンサートが非常に高い水準にあり、とりわけ素晴らしかったものとして、ヴァチカンのサラ・ネルヴィ(パウロ6世ホール)におけるベネディクト16世教皇着座記念コンサート(2012)や、ザルツブルク音楽祭における演奏会形式の《ナブッコ》(2013)、ローマ歌劇場にとって画期的かつ刺激的だった東京ツアー(2014)における《シモン・ボッカネグラ》《ナブッコ》等が挙げられる。▲プロフィールを閉じる

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